主役であるとも知らずに

 幼稚園の学芸会で披露する劇の役を決める際、「じゃんけんで決めていきましょう」と言われ、とりあえず全員でじゃんけんをさせられ、最初に勝った3人が希望も訊かれずに主役になった。その3人のうちの一人が私である。内容も聞かされないまま「狼の役」だと告げられ、まだひらがなも読めない者もいるせいか台本というものは渡されず、先生が口頭で台詞を教えながら演出していくのだが、練習がはじまってようやく自分が主役をやらされていることを察した。せめてタイトルくらいは先に教えておいてほしかった(タイトルには「おおかみ」の文字が入っていた。これで狼が主役だと気付けないのなら、幼児といえども勘が悪すぎる)。

 練習が始まってしまっては、もう今更出演拒否するのもおそらく面倒な事になるのだろうなと幼児とはいえなんとなく想像もつき、仕方なくほどほどにやり過ごしていこうと決めたものの、ほとんど強引にまつりあげられただけのはずなのに、やたらと責任重大であるようなことを吹きこまれはじめ、そのうち先生のみならず、わかりもしねえくせに他のちびっ子たち(当時の私もちびっ子だが)までもが妙な圧力をかけてきやがり、内心「全員くたばれ」と思いながら、狼としてしばらく生きることを余儀なくされた。なぜ、同じ台詞を3人揃って言わなければならぬのか(子供の劇にありがちなアレ)など、色々疑問も浮かびはしたが、いちいち質問なんかすれば、それだけ狼でいなければならない時間も増えてしまうので黙っていた。別に酷い叱られ方をしたわけでもないのだが、思い返すたびに殺意が湧いてくる記憶である。

 ひょっとしたら、私が「みんなで一緒に何かをおこなう」というのが苦手となったきっかけは、この経験なのかもしれない。『欽ちゃんの仮装大賞』なんかを見ていても、どこぞの小学校等の「クラス一丸となった系演目」には感動どころか「何人くらい無理矢理やらされている子がいるんだろうなあ」と冷めた気分にしかならないのも、おそらく主役であるとも知らずに演じさせられた狼が発端だろう。みんなで頑張りました的な演目よりも、私は明らかに好きでやっているであろう会社員一名のくだらない演目のほうを評価する。「ああなりたい」とは思わないにしても。

ANOTHER MOOD-脇役であるとも知らずに

ANOTHER MOOD-脇役であるとも知らずに

 

 

呑む阿呆に拾い集める阿呆

 郵便局に用があったのだが、隣にある小さな病院の駐車場にアルコール飲料の空き缶が10本ほどまとまって転がっているのを見つけ、しばらく観察してしまった。

 このクソ寒いなか、路上で酒盛りでもしたバカがいるのかと思ったが、バカでイキがった若者の酒盛りの跡としてはこじんまりしている気もする。それに、病院の前というだけでなく、すぐ近くには交番もあるため、さすがのバカでもこんな場所で騒ぐとは思えない。もしそこでバカな若者の酒盛りが本当に行われていたのだとしたら、それは相当に危険な連中であろう。そして、そんな連中を放置したのだとすれば、交番が存在している意味とはいったい何なのだろう。ひょっとして、自身の存在意義を見失ったお巡りさんが酒に逃避していたのだろうか。どちらにしても、私の精神衛生的にも良くない想像なので、希望的観測ではあるが「可能性なし」ということにしておきたい。

 では、いったいどんな人物が缶を散らかしたのか。病院の敷地内なのだから、入院患者がこっそり外に抜け出して酒をあおったというのも考えられる。しかし、この病院の主な患者層は老人であり、診察よりも世間話を目的としている者が大半という噂もある。外で酒など飲まず、待合室で雑談していれば良かろう。どうしても飲みながら話したいという老人がいたのなら、それはそれで治療が必要な類の方だったのではないか。もっとも、この病院で治療できるとは思えないが。

 あるいは、すっかり老人たちの集会場と化してしまったことを憂う病院関係者がやけ酒でもしていたのだろうか。これもまた治療が必要な案件であるが、上記同様、残念ながらこの病院の手に負えるものではないだろう。

 あれこれ考えてはみたが、結論が出るわけでもなく、私はとりあえず郵便局での用を済ませ、気づいてしまった者の定めとして空き缶を片付けることにした。しかし、ここ数年、空き缶のコレクションに手を染めてしまっているうえ、普段アルコールを嗜まないこともあって、この状況は宝の山に出くわしたようなものであり、常備しているゴミ袋に入れて持ち帰り(一応、カモフラージュとして中身の見えない大きめの買い物袋にしまった)、バケツにお湯を汲んで凍えながら外で空き缶を洗浄してしまっている私も何らかの治療が必要なのかもしれない(鬱を抑える薬は処方されておりますが)。

日本懐かしジュース大全 (タツミムック)

日本懐かしジュース大全 (タツミムック)

 

2019年の30選/20選

 2019年に発表された各ジャンルにおける作品の個人的30選/20選。

 

 

 

【2019年の海外音楽アルバム30選】

アーサー・ラッセル『アイオワ・ドリーム』

Alogte Oho&His Sounds Of Joy『Mam Yinne Wa』

YĪN YĪN『The Rabbit That Hunts』

ヴルフペック『ヒル・クライマー』

ギャビー・モレノ&ヴァン・ダイク・パークス『¡Spangled!』

クリス・ポッター『Circuits』

Kombilesa Mi『Esa Palekera』

サラミ・ローズ・ジョー・ルイス『Zdenka 2080』

サンドロ・ペリ『Soft Landing』

ジェイペグマフィア『All My Heroes Are Cornballs』

ジェイムス・ブレイク『Assume Form』

ジェシカ・プラット『Quiet Signs』

ジョアンナ・スタンバーグ『ゼン・アイ・トライ・サムモア』

ジョエル・ロス『キングメイカー』

デヴィッド・バーン『American Utopia On Broadway Original Cast Recording』

ドゥドゥ・タッサ&ザ・クウェイティス『エル・ハジャール』

トム・ヨーク『アニマ』

Nivhek『After Its Own Death/Walking In A Spiral Towards The House』

ビリー・アイリッシュ『When We All Asleep,Where Do We Go?』

フォールズ『Everything Not Saved Will Be Lost Part1、2』

¿Who's The Cuban?『Circo Circo』

ブラック・ミディ『Schlagenheim』

フランチェスコ・トリスターノ『Tokyo Stories』

ブリタニー・ハワード『Jaime』

フローティング・ポインツ『Crush』

マーキュリー・レヴ『Bobbie Gentry’s The Delta Sweets Revisited』

マグマ『Zess(ゼス〈全宇宙を統べる者〉~その日、万物は無へと還る)』

ヤヌシュ・プルシノフスキ・コンパニャ『In The Footsteps』

ルカ・プロダクションズ『Falaw』

ワイズ・ブラッド『Titanic Rising』

アイオワ・ドリーム

アイオワ・ドリーム

 
エル・ハジャール

エル・ハジャール

 
After its own death / Walking in a spiral towards the house

After its own death / Walking in a spiral towards the house

  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

【2019年の国内音楽アルバム30選】

ENDRECHERI『NARALIEN』

王舟『Big fish』

大友良英大河ドラマ「いだてん」オリジナル・サウンドトラック』

小沢健二『So kakkoii 宇宙』

岡沢じゅん『()に捧ぐ』

KIRINJI『cherish』

King Gnu『Sympa』

空間現代『Palm

KODAMA AND THE DUB STATION BAND『かすかな きぼう』

小西康陽とプレイボーイズ『井上順のプレイボーイ講座12章』

Controversial Spark『After Intermis‐sion

Suchmos『THE ANYMAL』

佐藤優介『Kilaak』

さよならポニーテール『来るべき世界』

静かの海『静かの海』

スカート『トワイライト』

ソギー・チェリオス『Ⅲ』

立入禁止寺『Recorded at Uran Bator』

紡ぐ糸『語れ、ムーサ』

東郷清丸『Q曲』

長谷川白紙『エアにに』

VIDEOTAPEMUSIC『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』

ブギ連『ブギ連』

Madam Anonimo『il salone di Anoni‐mo』

マヒトゥ・ザ・ピーポー『不完全なけもの』

山崎ゆかり『風の中にうたう』

湯浅湾『脈』

与之乃、田村夏樹『邂逅』

夜の音楽『夜の音楽 Music within THE Night』

ROTH BART BARON『けものたちの名前』

So kakkoii 宇宙

So kakkoii 宇宙

 
井上順のプレイボーイ講座12章

井上順のプレイボーイ講座12章

 
来るべき世界

来るべき世界

 

 

 

 

 

【2019年の音楽シングル曲30選】

amazarashi『さよならごっこ

Eve『闇夜』

ゑでぃまぁこん『少女』

グソクムズ『泡沫の音』

GLAY『JUST FINE』

サイダーガール『クローバー』

斉藤和義『アレ』

サカナクション『忘れられないの/モス』

SASUKE『J‐POPは終わらない』

私立恵比寿中学『トレンディガール』

sora tob sakanaflash

Chelmico『Summer day』

TEAM SHACHI『Rocket Queen feat. MCU

DIR EN GREY『The World of Mercy』

中島みゆき『離郷の歌』

BUCK‐TICK『獣たちの夜/RONDO』

ぷにぷに電機『君はQueenNeon Ocean』

Homecomings『Cakes』

MIGMA SHELTER『Names』

三浦大知『片隅』

宮本浩次『Do you Remember?』

Maison book girl『SOUP』

山本彩『棘』

湯木慧『誕生~バースデイ~』

ユニコーン『でんでん』

UNISON SQUARE GARDEN『Phantom Joke』

米津玄師『海の幽霊』

ラストアイドル『青春トレイン』

リーガルリリー『ハナヒカリ』

わかないづみ『無題/エレベーター』


グソクムズ『泡沫の音』


山本彩 - 「棘」Music Video (Full)


ユニコーン 『でんでん』Music Clip

 

 

 

 

【2019年の海外映画30選】

アダム・リフキン『ラスト・ムービースター』

アナス・トマス・イェンセン『アダムズ・アップル』

アリーチェ・ロルヴァケル『幸福なラザロ』

アンドレス・ファイエル『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』

カルロス・ロペス・エストラーダ『ブラインドスポッティング』

キドラット・タヒミック『500年の航海』

ギャスパー・ノエ『CLIMAX クライマックス』

クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

グサヴィエ・ルグラン『ジュリアン』

クリント・イーストウッド『運び屋』

クリスチャン・デスマール、フランク・エキンジ『アヴリルと奇妙な世界』

ジアード・クルスーム『セメントの記憶』

ジェレミー・クラパン『失くした体』

ジャ・ジャンクー『帰れない二人』

ジャファル・パナヒ『ある女優の不在』

ジャン=リュック・ゴダール『イメージの本』

ジョー・バーリンジャー『テッド・バンディ』

スコット・クーパー『荒野の誓い』

ダニエル・ファランズ『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』

ダニー・ボイル『イエスタデイ』

デニー・ブレックナー、アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・エクト『ハッパGoGo 大統領極秘指令』

トッド・フィリップス『ジョーカー』

ニルス・タヴェルニエ『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』

パヴェウ・パヴリコフスキ『COLD WAR あの歌、2つの心』

パオロ・ソレンティーノ『LORO 欲望のイタリア』

ピーター・ファレリー『グリーンブック』

フー・ボー『象は静かに座っている』

マーティン・スコセッシアイリッシュマン』

ミカエル・アース『サマーフィーリング』

メヘルダード・オスコウイ『少女は夜明けに夢をみる』


ジャン=リュック・ゴダール最新作『イメージの本』予告


映画「ジョーカー」US版予告【HD】2019年10月4日(金)公開


映画『LORO 欲望のイタリア』予告編

【2019年の海外映画30選+3(特別枠3作)】

デニス・ホッパー『ラストムービー』

ニック・エベリング『デニス・ホッパー/狂気の旅路』

タル・ベーラ『サタンタンゴ』


映画『ラストムービー』予告編


映画『デニス・ホッパー/狂気の旅路』予告編


これを観てかっこいいと思ったあなたは残り7時間14分に挑戦すべし。/映画『サタンタンゴ』本編映像

 

 

 

 

【2019年の国内映画30選】

阿部はりか『暁闇』

井口昇惡の華

今泉力哉『愛がなんだ』

太田信吾『解放区』

大森立嗣『タロウのバカ』

奥山大史『僕はイエス様が嫌い』

片山慎三『岬の兄妹』

小路谷秀樹『虚空間 GATE』

こだま兼嗣『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』

小林啓一『殺さない彼氏と死なない彼女』

佐藤慶紀『新宿タイガー』

白石和彌麻雀放浪記2020』

白石和彌『ひとよ』

白石晃士地獄少女

園子温『愛なき森で叫べ』

武内英樹『翔んで埼玉』

竹内洋介『種をまく人』

田中征爾『メランコリック』

長久允『ウィーアーリトルゾンビーズ

蜷川実花『Diner ダイナー』

二宮健『チワワちゃん』

平山秀幸閉鎖病棟‐それぞれの朝‐』

藤田陽一『えいがのおそ松さん

前田聖来『いつか輝いていた彼女は』

松上元太『JKエレジー

真利子哲也『宮本から君へ』

山戸結希『ホットギミック ガールミーツボーイ』

山戸結希、井樫彩、他『21世紀の女の子』

湯浅政明『きみと、波にのれたら』

渡辺紘文『普通は走り出す』


伊藤健太郎×玉城ティナ『惡の華』予告


【映画 予告編】僕はイエス様が嫌い


映画『岬の兄妹』特報予告【2019年3月1日(金)全国公開】

 

 

 

 

【2019年の海外小説30選】

エトガル・ケレット『銀河の果ての落とし穴』

クリステン・ルーベニアン『キャット・パーソン』

クレア・ノース『ホープは突然現れる』

ケン・リュウ『生まれ変わり』

サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』

ジェニファー・イーガン『マンハッタン・ビーチ』

ジャン=クリストフ・グランジェ『死者の国』

ジョナサン・サフラン・フォア『ヒア・アイ・アム』

ジョン・グリーン『どこまでも亀』

ショーン・プレスコット『穴の町』

チャールズ・S・ハーネス『パラドックス・メン』

デイヴィッド・ピース『Xと云う患者 龍之介幻想』

テッド・チャン『息吹』

デニス・ジョンソン『海の乙女の惜しみなさ』

トーマス・ベルンハルト『アムラス』

ノラ・イクステナ『ソビエト・ミルク ラトヴィア母娘の記憶』

ハーラン・エリスン『愛なんてセックスの書き間違い』

ハン・ガン『回復する人間』

フェルディナント・フォン・シーラッハ『刑罰』

フレデリック・ベグベデ『世界不死計画』

マリオ・バルガス=リョサ『シンコ・エスキーナス街の罠』

ミシェル・ウエルベックセロトニン

ユーディト・W・タシュラー『国語教師』

ヨアブ・ブルーム『偶然仕掛け人』

『黄』

リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』

劉慈欣『三体』

林奕含『房思琪の初恋の楽園』

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』

レティシア・コロンバニ『三つ編み』

キャット・パーソン

キャット・パーソン

 
Xと云う患者 龍之介幻想

Xと云う患者 龍之介幻想

 
三体

三体

  • 作者:劉 慈欣
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: ハードカバー
 

 

 

 

 

【2019年の国内小説30選】

赤松利市『ボダ子』

赤松利市『純子』

阿部和重『Orga(ni)sm』

彩瀬まる『森があふれる』

荒山徹『神を統べる者』

上田岳弘『キュー』

江國香織『彼女たちの場合は』

大前粟生『私と鰐と妹の部屋』

小川哲『嘘と正典』

川上弘美『某』

川上未映子『夏物語』

川﨑秋子『土に贖う』

工藤正廣『アリョーシャ年代記

澤村伊智『ファミリーランド』

三方行成『流れよわが涙、と孔明は言った』

嶋津輝『スナック墓場』

曽根圭介『腸詰小僧 曽根圭介短編集』

酉島伝法『宿借りの星』

凪良ゆう『わたしの美しい庭』

伴名練『なめらかな世界と、その敵』

平山夢明『あむんぜん』

藤井太洋『東京の子』

北条裕子『美しい顔』

町田康『記憶の盆をどり』

松井玲奈『カモフラージュ』

松葉屋なつみ『星砕きの娘』

宮内悠介『偶然の聖地』

宮西真冬『友達未遂』

村田沙耶香『生命式』

詠坂雄二『君待秋ラは透きとおる』

ボダ子

ボダ子

  • 作者:赤松利市
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: 単行本
 
オーガ(ニ)ズム

オーガ(ニ)ズム

 
腸詰小僧(ちょうづめこぞう) 曽根圭介短編集

腸詰小僧(ちょうづめこぞう) 曽根圭介短編集

  • 作者:曽根 圭介
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

 

【2019年のマンガ30選】

阿部共実『潮が舞い子が舞い』

アボガド6『剥製』

雨がっぱ少女群『ひとりかごめ』

石黒正数『天国大魔境』

石黒正数『ヤンキー嬢ちゃんの不確かな真実』

柞刈湯葉、中村ミリュウ『オートマン』

イトイ圭『花と頬』

今市子『砂の下の調べ』

浦部はいむ『あ、夜が明けるよ。』

浦部はいむ『僕だけに優しい君に』

岡藤真依『少女のスカートはよくゆれる』

片山ユキヲ『夜明けの旅団』

雁須磨子『あした死ぬには、』

小日向まるこ『アルティストは花を踏まない』

渋谷直角『さよならアメリカ』

島田虎之介『ロボ・サピエンス前史』

スズキスズヒロ『空飛ぶくじら スズキスズヒロ作品集』

忠見周『竜侍』

冬虫カイコ『君のくれるまずい飴 冬虫カイコ作品集』

西野マルタ『えんこうさん』

ニック・ドルナソ『サブリナ』

平沢ゆうな『鍵つきテラリウム』

水島ライカ『シオンの庭』

ムジハ『廃墟のメシ』

モーテン・デュアー(文)/ラース・ホーネマン(画)『ZENOBIA ゼノビア

八木ナガハル『惑星の影さすとき』

横山裕一『プラザ』

リアド・サトゥフ『未来のアラブ人 中東の子ども時代(1978‐1984)』

綿貫芳子『真夏のデルタ』

和山やま『夢中さ、きみに。』

天国大魔境(3) (アフタヌーンKC)

天国大魔境(3) (アフタヌーンKC)

 
ロボ・サピエンス前史(上) (ワイドKC)

ロボ・サピエンス前史(上) (ワイドKC)

 
ZENOBIA ゼノビア

ZENOBIA ゼノビア

 

 

 

 

 

【2019年のその他書籍(海外)30選】

アンソニー・レイ・ヒントン『奇妙な死刑囚』

カール・ホフマン『人喰い ロックフェラー失踪事件』

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』

グレッグ・プラト『ヨット・ロック AOR、西海岸サウンド黄金時代を支えたミュージシャンたち』

ジャック・ランシエール『哲学者とその貧者たち』

ジーヤ・メラリ『ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する』

シャルル・フレジェ『CIMARRON ブラック・アイデンティティ南北アメリカの仮装祭』

ジャレド・ダイアモンド『危機と人類』

ジュリア・ショウ『悪について誰もが知るべき10の事実』

ジョン・デイビス、アレクサンダー・J・ケント『レッド・アトラス 恐るべきソ連の世界地図』

ソナーリ・デラニヤガラ『波』

ダニエル・コーエン『ホモ・デジタリスの時代 AIと戦うための(革命の)哲学』

デイヴィッド・パトリカラコス『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』

デイヴィッド・ライアン『監視文化の誕生』

デイビッド・ウォルトナーテーブズ『昆虫食と文明』

ドナルド・L・マギン『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』

トレイシー・ソーン『安アパートのディスコクイーン トレイシー・ソーン自伝』

ハナ・ロスチャイルド『パノニカ ジャズ男爵夫人の謎を追う』

ファビアン・バロン『Fabien Baron:Works1983‐2019』

フォルカー・ヴァイス『ドイツの新右翼

ポール・シャーレ『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』

ポール・デイヴィス『生物の中の悪魔「情報」で生命の謎を解く』

ポール・ルイス、ケン・ラマグ『ゾンビで学ぶAtoZ 来るべき終末を生き抜くために』

ミカエル・ロネー『ぼくと数学の旅に出よう 真理を追い求めた1万年の物語』

リアム・ドリュー『わたしはほ乳類です 母乳から知能まで、進化の鍵はなにか』

リチャード・ローズ『エネルギー400年史 薪から石炭、石油、原子力再生可能エネルギーまで』

リディア・ケイン、ネイト・ピーダーセン『世にも危険な医療の世界史』

ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』

ロベール・ブレッソン『彼自身によるロベール・ブレッソン インタビュー1943‐1983』

ロン・リット・ウーン『きのこのなぐさめ』

昆虫食と文明―昆虫の新たな役割を考える

昆虫食と文明―昆虫の新たな役割を考える

 
世にも危険な医療の世界史

世にも危険な医療の世界史

 

 

 

 

 

【2019年のその他書籍(日本)30選】

青山智樹『戦艦大和と一万二百個の握り飯』

伊藤慎吾、中村正明『〈生ける屍〉の表象文化史』

稲垣栄洋『敗者の生命史38億年』

稲垣栄洋『生き物の死にざま』

猪子寿之宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』

打越正行『ヤンキーと地元 解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』

大石始『奥東京人に会いに行く』

岡上理穂『中欧の不死鳥 ポーランド不屈の千年史』

木内達朗『木内達朗作品集 TATSURO KIUCHI』

小泉信一『裏昭和史探検 風俗、未確認生物、UFO…』

小泉義之『あたかも壊れた世界 批評的、リアリズム的』

小島美羽『時が止まった部屋 遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし』

更科功『進化論はいかに進化したか』

高橋恭司『WOrld’s End』

瀧澤美奈子『150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか』

D.O.『悪党の詩』

中谷友香『幻想の√5 なぜ私はオウム受刑者の身元引受人になったのか』

塙宣之『言い訳 関東芸人はなぜM‐1で勝てないのか』

藤井聡子『どこにでもあるどこかになる前に。 富山見聞逡巡記』

藤村忠寿嬉野雅道『仕事論』

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

牧久『暴君 新左翼松崎明に支配されたJR秘史』

真鍋真『恐竜の魅せ方』

みうらじゅん『マイ遺品セレクション』

三浦英之『牙 アフリカゾウの「密漁組織」を追って』

安田理央『日本エロ本全史』

矢野利裕『コミックソングがJ‐POPを作った 軽薄の音楽史

山下泰平『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』

吉岡乾『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』

ロマン優光『90年代サブカルの呪い』

敗者の生命史38億年

敗者の生命史38億年

 
人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界

人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界

 
マイ遺品セレクション

マイ遺品セレクション

 

 

 

 

 

【2019年のテレビ/配信ドラマ20選】

NHK総合『いだてん~東京オリンピック噺~』

NHK総合『詐欺の子』

NHK総合『だから私は推しました』

NHK総合トクサツガガガ

NHK総合腐女子、うっかりゲイに告(コク)る』

NHK BSプレミアム『スローな武士にしてくれ』

NHK BSプレミアム『黄色い煉瓦~フランク・ロイド・ライトを騙した男~』

NHK BSプレミアム八つ墓村

TBS『凪のお暇』

TBS『ゆうべはお楽しみでしたね』

テレビ朝日『相棒(2019年放送分)

テレビ朝日時効警察はじめました』

フジテレビ『JOKER×FACE』

フジテレビ『ほんとにあった怖い話 20周年スペシャル』

フジテレビ『世にも奇妙な物語 ‘19秋の特別編』

テレビ東京きのう何食べた?

毎日放送左ききのエレン』

HTB『チャンネルはそのまま!』

Amazon Prime Video『The Benza』

Netflix『全裸監督』

いだてん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

いだてん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

  • 作者:宮藤 官九郎
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/12/25
  • メディア: ムック
 
きのう何食べた? DVD BOX(5枚組)

きのう何食べた? DVD BOX(5枚組)

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: DVD
 


弱小ローカルテレビ局が「バカ」で生まれ変わる!芳根京子主演ドラマ【チャンネルはそのまま!】

 

 

 

 

【2019年のテレビ/配信アニメ20選】

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

ヴィンランド・サガ

『彼方のアストラ』

からかい上手の高木さん

鬼滅の刃

『キャロル&チューズデイ』

『ケムリクサ』

『さらざんまい』

『女子高生の無駄づかい』

『星合の空』

『そばへ』

ダンベル何キロ持てる?』

Dr.STONE

どろろ

ブギーポップは笑わない

『まちカドまぞく』

『みるタイツ』

モブサイコ100

約束のネバーランド

『八十亀ちゃんかんさつにっき』

ケムリクサ 1巻[上巻] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: movic co.,LTD.(PLC)(D)
  • 発売日: 2019/03/29
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ダンベル何キロ持てる? Vol.1 [Blu-ray]

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【2019年のテレビ/配信バラエティ20選】

NHK総合ブラタモリ

NHK総合『陽水の50年~5人の表現者が語る井上陽水~』

NHK Eテレ『シャキーン!』

NHK BSプレミアム細野晴臣イエローマジックショー2』

NHK BSプレミアム『名盤ドキュメント YMO“ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー”世界震撼!テクノポップの衝撃~』

TBS『安住紳一郎と2019年上半期のTBS』

テレビ朝日『激レアさんを連れてきた。』

テレビ朝日『さまぁ~ず×さまぁ~ず』

テレビ朝日タモリ倶楽部

フジテレビ『世界で一番怖い答え』

フジテレビ『全力!脱力タイムズ』

テレビ東京『ノンフェイクション』

テレビ東京『モヤモヤさまぁ~ず2』

STV1×8いこうよ!

HTB水曜どうでしょう

HTBハナタレナックス

YouTube『第22回みうらじゅん賞みうらじゅんチャンネル)』

YouTube『藤やんうれしーの水曜どうでそうTV』

Amazon Prime Video『内村さまぁ~ず』

TOCANA『ネットで噂のヤバイニュース超真相』


元ゆるめるモ!あのちゃんが、ガチで怖がって超悲鳴!世界最大の吸血ヒルを育てた男と共演!


【モヤモヤさまぁ~ず2(配信オリジナル)】 狩野アナにやってほしい3つのこと【シリーズ配信中!】


水曜どうでしょう2019最新作を藤やんとうれしーが生で副音声します。

来なくてもいいのに勝手に来やがったんだから少しは良い思いさせなさいよ、2020

 年齢のせいか、はたまた時代のせいか、新年というものがさっぱり嬉しくなくなってしまって久しいが、来なくてもいいのに奴は勝手にあがりこんでくる。正月飾りがあるじゃねえかとおぬかしやがるが、それは福の神さまたちへのものであって新年氏に対してではないのである。歓迎してほしかったら、少しはこちらの気分が良くなるような振る舞いをしてみせなさい。

 しかしながら、相手は実態の見えない新年氏。ぶとうが蹴ろうが私の手足が空を切るばかり。しまいには勢い余って壁にぶつかり、こちらが怪我をしかねない。やまたのおろちの退治法に倣って、酒でも大量に流し込んで前後不覚になったところを後ろからバッサリというわけにもいかず、一年間はこやつの機嫌をうかがいながら過ごさねばならない。ごくまれに気の良い新年氏も居られるようだが、すぐに腹の底を見せてくれる相手ではないため、付き合い終わってみなければどうにもならない。しかし、勝手にあがりこんでくるような輩にそんな気の良い相手など本当にいるのだろうか。非常に疑わしく思っているのだが、それを悟られては「そういうおめえさんの性根が気に入らねぇんだよ」などとつっかかってくることだけは容易に想像できるので、こちらは愛想笑いでも浮かべているほかないのである。

 そうは言っても、そろそろ我慢の限界でもある。やい、2020年氏。ちょっとは良い思いをさせなさいよ。

 というわけで、はじめまして2020。今年もどうか無事に。

もつれっぱなし (講談社文庫)

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SOME DAY,THAT PLACE IN TIME(さよなら、2019)

 みうらじゅん先生の「みうらじゅん賞」に倣って、私を楽しませてくれた人・ものなどを勝手に称える「みづきうりゅう賞」。令和に入り本家「みうらじゅん賞」は“権威・濃すぎ”になった(?)授賞式を改め、原点回帰的な発表になっておりましたが、こちらは権威が苔ほども付着しそうにない賞なので、これまで通りブログでこっそりと発表します。本家同様、枠は5席。

 また、例年同様、音楽アルバム、映画、小説、漫画、テレビドラマなどの作品は「みづきうりゅう賞」とは別に、それぞれ特に面白かったと思うものを20〜30作品くらい挙げようと思います。とりあえず、ツイッターで20選、ないし30選を挙げておき、個別の作品に関する感想などは、私の体調が良ければ、年が明けてから3月に入るくらいまでにまとめることができればよいかなあ、といったところです。私のことを多少気にしてくれている物好きな人がおられましたら、なにかの参考にでもしてください(ここまでは、ほぼ例年通りのコピペです)。

 

 

 というわけで、栄えある2019年度みづきうりゅう賞の発表です。今年の受賞者(?)は、こちら(敬称略)。

 

岩松了

田中瞳

芳根京子

・立入禁止寺

・ユースキン

 

 

岩松了」 底知れなさを感じさせる目の奥に宿る謎の笑み。本当に底知れない時もあれば、くだらないほど身も蓋もない時もある。昔から大好きな役者さんですが、2019年は『いだてん』の岸清一役に加え『時効警察』の熊本課長も久しぶりに帰ってきてお腹いっぱい。それにしても、実際の岸清一の写真を見て、いったいどれほど多くの視聴者が「まんまじゃないか!」と叫んだことでしょう。

 

田中瞳」 番組ファンのハートを一瞬で鷲掴みにしたモヤさま4代目アシスタント。歴代アシスタントは全員好きだけれど、それにしても好感しか持てない。ネットオリジナルコンテンツで披露していた即興ラップも耳から離れません。

 

芳根京子」 HTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま!』の主演を務めた流れで、ほくでんのCMにも出演していますが、そこでの音尾さんとの絡みを見ているとオフィスCUE所属の新人さんかと錯覚しそうになる。人が頑張っている姿を見ても感動しない私でも好感を持てた「今もっとも頑張っている姿の似合う女優」。

 

「立入禁止寺」 “ウランバートル出張で引きこもり状態になって制作し、日本に住む友人に円盤に持って行ってくれと頼み、それを聴いた店主の田口さんが形にしたというドリームストーリー(笑)”(紹介文から引用) 共感よりも驚嘆を求める者にはたまらない出自。そして納得の「なんだこりゃ!」な音楽性。さあ、みんなで驚こう。もっともっと驚こう。

 

「ユースキン」 肌の弱い私を幼少期から守り続けてくれているオレンジ色の蓋を持つあの薬。令和になっても宜しくお願いします。ということで感謝を込めた受賞です。

 

 

 

 

 

 いわゆる著名人の不祥事というものが多く報道されていたように感じた一年ですが(なかには敏腕弁護士でもない限り弁護のしようがなさそうな方もいらっしゃいました。某恫喝の件とか)、事件そのものよりも否応なく目に入ってくる下世話な一般人達のまるで楽しんでいるかのような発言、書き込み……これらのほうがよっぽど不快でした。「前々から胡散臭く思っていた」などと自分の目が確かであったことを自慢するかのような発言を恥ずかしげもなく書き散らかす輩も少なくなく、日々こんな連中の話題の餌にされているのなら、そりゃ薬に逃げたくもなるよな、なんて思ったりもしました。嘉納先生、私はこんなものではなく、もっと面白いものが見たいのです。そんな願いを抱きつつ、さようなら2019(まだあるけれど)。

いだてん 後編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

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  • 作者:宮藤 官九郎
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/05/31
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モヤモヤさまぁ~ず2 福田アナ卒業スペシャル ディレクターズカット版 (DVD) (特典なし)

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新装版 チャンネルはそのまま! (1) (BIG SPIRITS COMICS)

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ガラス製品に埃を溜めるな

 もっと掃除しやすい家にするべきだと家を建てる前の両親に忠告したくなる季節。つまりは大掃除の季節。安物のくせに小細工に走ったシャンデリアなんぞ、埃は溜まりやすいうえに、いざ拭こうとすればあちこちでこぼこしていて鬱陶しいし、苛々しながら雑に扱うと割れてしまいそうな無駄な繊細さまで持ち合わせていやがる。嫌な緊張感のなか、壁を天井をと雑巾とバケツを手に動き回っていると、12月の北海道なのに体が熱を持ちはじめ、ついつい薄着で作業をしてしまい、いざ掃除を終えると急激に冷えてきて具合も悪くなる。腕も痛い。気圧のせいもあるだろうが頭痛もする。すぐに眠りたいくらいに疲れているけれど、けっこう埃を被っている気もしてシャワーも浴びたい。急ぎがちなシャワーでさらに冷えたりする。抵抗力ガタ落ち。ひょっとして、これは風邪か?

 なんて事態に陥りがちなことは充分に理解しているのだけれど、大掃除をしないまま年を越すのはもっと気持ち悪い。そういう面倒な性分に生まれついたことを嘆きつつ、たぶん風邪かなという体調のまま2019年を終えようとしている。

 

松とパインとリンゴにまつわるシベリアを絡めたムッシュ村上の話

 特に好物というわけでもなければ親の仇のように敵視しているわけでもないので、日常においてパイナップルに意識を向けることはさほどない。だからこそ、ふと目に入った表記が「パイナップル」ではなく「パインアップル」だった場合、ちょっとした特別感に浸ったりするのは、私個人のどうでもよい嗜みである。

 「パインアップル」という表記で思い出すのは、『いだてん~東京オリムピック噺~』にも登場した元帝国ホテルの顧問でもあるシェフ・村上信夫氏(通称・ムッシュ村上。ドラマでは黒田大輔さんが演じた)が、シベリア抑留中に戦友が最後に口にしたいと言ったパイナップルが手に入らず、リンゴをパイナップル風の味と形に調理したというエピソードで、私はこの話をフジテレビの『奇跡体験!アンビリバボー』で知った。CM前の過剰な引っ張りなども含めた番組全体の演出のトーンがだんだんと肌に合わなくなっていき、今ではほとんど視聴することがなくなってしまったが、高校を出るくらいまでは割と楽しみにしていて、思い返せば『いだてん』の主人公でもある金栗四三氏を知ったのもこの番組だった。日本テレビの『世界まる見え!テレビ特捜部』と並ぶ、私にとっての二大「雰囲気が変わってしまって残念な番組」である。

 それはさておき、パイナップルが「パインアップル」とも表記される理由だが、単純にスペルが「Pineapple」だからで、松ぼっくり(=「Pine」)に似た形のリンゴのような甘さのフルーツということで「Pineapple」らしい。日本語での表記の差はちょっとした呼ばれ方の違いというだけで、深い意味があるわけではないらしい。ムッシュ村上のエピソードが元で「アップル」をはっきり表記するようになったとかではないのである。ついでに言えば、ピコ太郎の「PPAP」ともたぶん関係はない。

 シベリア抑留に関しては、捕虜たちの栄養を補うために松ぼっくりを元にした飲み物が配られたなんて話も聞いたことがある。ムッシュ村上氏が口にしたことがあるかどうかは知らないが、味としてはとても飲めたものではなかったらしく、仮に口にしたことがあったとしても料理人としてプラスになったとは考えにくい(ただし、栄養補給としての効き目はあったらしい)。いずれにせよ、味見してみたいものではない。

 考えてみれば、松の木に近づくような機会もなくなったので、松ぼっくりも久しく目にしていない気がする。まあ、視界の端に映り込んだとしても、まったく気にとめていないだけかもしれない。パイナップルと違い、無料でもらったとしても困るだけなので気にかける必要性がないのだから当然とも言える。松ぼっくりから得られる栄養を無視できなくなっているのなら、こうしてブログを書き散らかす余裕もなくなっているだろう。

いだてん 後編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

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