2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(41)

石畳氏によってK氏へと伝わった彼女の意思は、すぐに山上らをも巻き込み、「“デーゲームファシスト”の横暴で死ぬことになるのなら、せめて相討ちすべき」という彼らの叫びは大量の落花生たちを動員し、まるで『爆裂都市』のような鉄屑と豚の臓物が飛び交う狂…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(40)

まったくの偶然だが、「恥じらいの四戦士」の一人であるH氏がかつて発表した映画のプロットは姉妹を巡る騒ぎに酷似していた。『アトミック・シスターズ』と題されたプロットは講師たちから酷評されたものの、後に多くの文化人が見せた残念な言動を考えると、…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(39)

不思議な能力を持つ双子姉妹が生まれたのは16年前の7月4日で、その日、家には一羽のフクロウが迷い込み、そのまま住みついた。フクロウはなぜかリンゴ以外の食物を受け付けず、それは姉妹も同じだった。そして姉妹が3歳になる頃、姉は突然、読んだことのない…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(38)

学校祭最終日となる翌日の朝、書いた覚えのない「夢に出てきたカミサマは 髭を生やしたジャンキーで 俺はエドミーあんたもどうだい 笑ったままでニヤリと言った」というメモを日記帳に挟み、珍しくベーコンと共に焼いた目玉焼きの出来具合を眺めながら、雨天…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(37)

学校祭2日目には仮装パレードなどという恥知らずな催しが行われるが、通院日がずらせないと言い訳し、参加は拒否した。薬局で安定剤を処方してもらっている間、別の患者が受付の女性に「一羽の白鳥がシベリアに向かっているそうです」と話しかけていたが、「…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(36)

信頼できるテレビ局では、ちょうどゴルフ場のようにバンカーや池が設けられた球場で行われる野球中継が放送されていた。使いものにならない選手が動員されて催される見世物で、ボールを追いかける勢いのまま池に激しく転落する姿は痛快だが、動員されてしか…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(35)

そんなタミヤの習性は、どうやら祖父譲りのものだったらしく、地域中から嫌われていたタミヤの祖父が自宅の便所で真夜中に発作を起こして亡くなった際、朝まで家族の誰も気づかなかったことが知れ渡っても不審に思う者は一人も現れず、タミヤの同級生である…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(34)

私は下北昇平と母校をめぐる一連の出来事をタソガレさんからの手紙によって知ったが、「ある程度の胸がすく思いというものは味わえたものの、歯磨きのし過ぎによる右肩の鈍痛が気になって見も心も健康体からは程遠いです」と返事を書く他なかった。見越した…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(33)

「人間の内面を深く掘り下げる」という指針を持ちながら、「B型の人間とは合わない」などと酒の席で宣った専門学校の担任も含め、私が憎く思った教員の多くは命を落としているのだが、最も憎い相手は今も平気で生きているので、私に妙な期待を寄せていたのは…