われにここをキャンプ地とする用意あり

犯人が逮捕されただけでは事件解決とはいえないということは、あまり力の入っていなさそうな刑事ドラマの中でさえ描かれてきたことなので、平和に暮らし続けてきた庶民でも大半は理解していると思っていた。だが、実際に自分が巻き込まれると冷静ではいられ…

七誤算

私には七五三の写真がない。育児放棄されていたわけではなく、私自身が三歳の時点で泣いて嫌がったからである。物心つく前から、なぜか本能的に着飾られることを拒否する性質があり、多少の懸念はあったものの「記念だから」と連れていかれた写真屋で想像以…

ハロウィンを知る前、アンパンマンを素直に楽しめた頃

「ハロウィン」と呼ばれる祭りが存在しているということは、クリスマスや七夕と同様に物心ついた時には既に知っていた。だが、その由来とされる説のひとつが「天国と地獄の間をさまよう魂の救済」だと知ったのは、3歳か4歳頃に『それいけ!アンパンマン』の…

吾輩は猫の毛である

猫の毛というものは、身体にも衣類にも付着し易い。もっと付着し易い毛を持つ生き物も存在するのかもしれないが、ペットとして人間と共に暮らす数の多さを考えれば、人間に最も付着していることの多い他の生物の毛は猫であろう。統計学的に信頼できる調査を…

隣の報せは厚く見える

収集癖のある私は住む町の広報を小学2年の頃から保管し続けいるため、それだけでも収納場所の確保に頭を悩ませることになっているのだが、そのくせ近隣の市町村や旅先においても、コンビニやスーパーなどに置かれた広報を拾ってきてしまうので、その他の収集…

担任がいっぱい

世代差も影響してくるだろうが、現代日本で育った人間たちは平均で何人ほどの「担任教師」と関わっているものなのだろう。教科や講義ごとの担当ではなく、学級等ごとの「担任」の話である。 義務教育期の9年間、高校、そして大学や専門学校等へ進めばさらに…

虫だってあざとくて何が悪いの?

どうやら今季はテントウムシの姿が多い。基本的に見た目にも生態的にも害のない彼らだが、あまりに大量発生されると結局は害虫扱いになる。むやみに退治するのも気が引けるので、「ちょっと多い」程度で活動してくれることを祈る。 しかし、テントウムシを手…

恵比寿大黒地獄篇

アイスクリームショップなどなかったはずの懐かしき上磯瀬百貨店食品売り場の横には、売り場の商品をレジへ通す前に入店できてしまう位置関係で30年程前のサーティワンが店を構え、店の買い物籠に支払前の商品を入れたままの母子たちがチョコミントとバナナ…

少年と犬と公衆衛生と私

最寄りの辛うじて集落と呼べそうな地域にも、かつては数軒の飲み屋があった。さらに古の時代には、旅館や映画館すら存在したようだが、それは齢80に差し掛かろうとしている私の父が少年だった頃までの話だ。それでも数軒の飲食店や商店の類が私の誕生後もど…

吐きだめのヘドラ

「観ておくべき名作映画ランキング」、あるいはもっと単純に「好きな映画ランキング」といったものには、おそらく上位どころか下位にも掠るか掠らないかという存在だろうが、「汚い映画ランキング」ならばベスト3に選ばれそうな怪作『吐きだめの悪魔』(1986…

冬よ来い

天候、特に気圧の変化によって体調が悪くなる、いわゆる気象病と呼ばれる症状が顕著になったのは中学に入ったあたりからで、そういう体質なのだろうと成人になるまで放置した結果が現在の私の惨状なわけだが、それでも遅ればせながら医療機関のお世話になる…

座敷童子を騙そう

座敷童子を騙そう 落ちぶれた伯父の頼みで 先走るチャウチェスク 常に坊主の影 座敷童子を騙そう 詩人な伯父を抱えて 先走る総辞職 夢に坊主の影 2000年9月某日の日記の端に書き殴られていた文章で、どうやら寝惚け眼の頭に浮かんだ「上を向いて歩こう」の替…

キツネで遊ぶな子供たち

キツネはよく轢かれている。我が故郷の見なれた光景である。当たり前のように沢山のキツネが生息し、そんなキツネたちのことなどお構いなしにダンプやトラックやその他諸々の重機類をせわしなく乗り回す荒々しい農業の方々もまた大勢生息しているのが主な原…

同情せぬから金をくれ

かつての教師や上司が「時代とはいえ、あの頃の自分の指導方法は間違っていた」と教え子や部下に謝罪してまわるといった話は一向に聞こえてこない。大半が間違っていたなどと微塵も考えないのだろうし、仮にごくわずかな数、過去の自分の指導法を悔やんでい…

自分を幸福にしない私というシステム

読んでくださっている方が存在しているのかどうか怪しい、北海道の僻地でユウレイグモのようにひっそりと呼吸をしている美月なんちゃらという人物が書き散らかしているブログの本日の更新は、本人の精神面の諸事情によりお休みします。 励ましいという方も存…

薬は沢山あるけれど

とあるドラッグストアが暑い。「熱い」ではなく「暑い」である。さらに正確に言えば、暑さを感じるほどに湿度が高い気がする。それもレジ付近だけ。長い列ができていたり、会計に手間取っている人がいると、非常に辛い。 ドラッグストアゆえに、医療品も飲料…

トウモロコシ畑のスノッブたち

『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年/監督:フィル・アルデン・ロビンソン)は、知っていると「映画通」と呼ばれるほどの映画だろうか? 公開から30年以上経つため、世代的には馴染みの薄い層も大きくなっているかもしれないが、主演はケヴィン・コス…

喋る馬の名はエド。では、喋る鹿の名は?

病院から帰宅すると、自宅のすぐ隣にある畑に5頭ほどの鹿がいた。 我が家が所有する畑ではないし、観察してみると作物には口をつけず、端の方の草ばかり食んでいるので、とりあえず敵意の欠片も脳裏に浮かべず、しばらく眺めていた。 近隣に鹿が出没すること…

少し前の行動は覚えていても安心するなと身体の奥の方から声がする。

どうにも強迫性障害の症状が改善しないので、抗鬱剤よりも強迫症により効果がある薬を処方してもらおうかと考えているのだが、この連日の猛暑を中心とする安定しない気候では副作用も起きやすいだろう。もう少し涼しくなるまで待っておくのが得策のように思…

一昨日の夕刊しかない地元紙に関する話

「今朝の朝刊」という言葉が気になるという内容の随筆が地元新聞の文芸欄に載っていた。「朝刊は朝に決まっているだろう!」と突っ込みを入れたくなるらしい。仰る通り朝刊は朝に決まっているが、今朝、つまり当日の朝刊が情報源ではない場合もあるわけで、…

暑さは熱さじゃ集まるだけだ

暑い時こそ熱いものをという考え方がどうしても受け入れられない。少なくとも、私には効果がないどころか、単純に余計に暑くなるだけであり、「暑い時こそ熱いもの」を実践している連中の姿すら目に入れたくない。 爽やかな夏など、もはや創作物か幻想の中に…

暑さと湿気で曇った脳味噌を何かで叩いて僕の自尊心はどこへ行ったんだ

形あるものだけでなく文化や概念に至るまで、次から次へと破壊され消失する様を見てきたわけだが、破壊されて欲しいものほど破壊されないと感じることがあり、それはひょっとしたら破壊に至る者の理性の強弱が関係していて、理性が崩れやすい者ほど捉え方も…

善き人のみのゾナティーネ

他人を幸せにすることはできても、他人の窮地を救うことはできない者もいる。逆に他人を幸せにすることはできないが、他人の窮地を救うことはできる者もいる。もちろん、両方できる者もいるだろうし、どちらもダメな者もいるだろう。そもそも、状況次第でど…

Punk Like Amadeus

作者の言動に幻滅してしまったせいで作品を楽しみにくくなること自体は理解できるし経験もあるのだが、それでも作者の人間性の良し悪しを作品そのものの評価へやたらと結び付けようとする者の理由はなんなのだろうと疑問に思うことの方が多く、おそらく評価…

「嫌いと嫌いが嫌いで嫌いの嫌いへ嫌いな嫌いは嫌いを嫌い」

「好きの反対は無関心」という聞き飽きた説がある。たぶん、間違っていると思うし、せいぜい「そういう場合もある」程度の話だろう。そして、この説とも言えそうにない説を根拠に、否定的な言葉に対して「嫌いと言いつつ、気になって仕方がないのだな」など…

君に好かれても迷惑ではあるけれど

朝食時に蚊が室内を飛んでいるのが見えた。すぐに視界から消えてしまい、退治することができなかったため、しばらくは刺されてもいないのに体のあちこちが瞬間的に痒みを感じる症状に襲われた。 その日は用事もなく一日中家にいたのだが、錯覚としての痒みに…

老人と砂

命の危険を感じるほどの暑さが続くなか、老人会のみなさんはいつも通りゲートボールに興じていた。 暑さを感じにくくなってしまったご老人が熱中症で搬送されるといったニュースを頻繁に目にするが、どういうわけか私の周りでは一度も聞いたことがない(老人…

主題はおそらく「彼らが愚かであることを勤勉な私は理解している」

地元新聞の編集余録に「読書のすすめ」と題された文章が掲載され、その中に以下のような記述があった。 「濁流の恐怖からようやく逃げた若者がインタビューに答えていた。「ザーッときて水がガーッときたから、バーッと逃げた」「川がバーッとあふれ、グワー…

「暑さ寒さも彼岸まで」とか言う者彼岸送り

仮にひとつの人格のようなものを持った何らかの存在が天候を司っていたとして、そいつが人間らしき姿で「いやあ、暑くし過ぎたね。ごめん、ごめん」などと言って現れたら、2023年7月30日現在、おそらく多くの日本人がそいつに殺意を抱き、そのうちの半数以上…

腹が痛くて戦も出来ぬ

何かの間違いで富を得てしまいやがったロクでもないタイプの金持ちたち(ちなみに言っておくが、私は別に金持ち自体が嫌いなわけではない)による、無駄に壮大なチキンレースにいつの間にか参加させられてしまっていたかのような気分でいるためか、単に暑い…