美月氏、女子高生に轢かれる

 女子高生に惹かれるのは、その是非はともかく、健康的な男子としては仕方ないだろうと主張する人も少なくないかもしれない。しかし、女子高生に轢かれるのはただの事故である。その事故に美月氏は遭った。

 買い物しようと町ではなく近所のスーパーまで出かけた美月氏は、財布は忘れなかったが突然携帯電話が鳴ったので坂道の途中で立ち止まり、安全の為に歩道の端に寄って通話した。 通話し終えた美月氏は、坂の上から自転車で降りてくる女子高生を確認。これまた、安全のために女子高生が通り過ぎるまでそこで留まっていた。

 しかし、災害というのは突然ふりかかってくるものである。 別に携帯電話をいじりながら自転車に乗っていたわけでもないのに、なぜか女子高生は運転を誤り、美月氏につっこんできた。 車道に飛び出すわけにもいかず、美月氏は運命に逆らわず素直に轢かれることにした。

 幸い、女子高生が土壇場で抵抗したのか、大事に至るような激突にはならなかったが、美月氏は主に足に軽めのダメージを受け、女子高生は当然のことながら転倒した。

 自分の怪我が大したことないことは分かったので、むしろ女子高生の怪我が気になった。しかし、本能的に危険人物と思われたのか、声をかけるより早く女子高生はこちらが引いてしまう勢いで謝ってきた。23年生きてきて、これほど謝られたのは初めてだろう。謝罪の気持ちというより、命乞いに近い必死さがあった。

 美月氏の外見は、最近は微細なる運動によって細マッチョ化しつつあるものの、基本的にはひょろひょろもやし系、女装させればあっという間にツィッギー女子になってしまうようなものだが、女装してない普段は知人曰く「連合赤軍系」、つまりは部屋に籠もって爆弾を作っていそうな感じであり、ウッドストック中津川フォークジャンボリーなんかに放り込めば保護色で見えなくなるような姿であるらしい。そういった外見的特徴から「コロサレル」という危機意識を持ったのかもしれない。

 轢き逃げされたり、逆ギレされたら「コロシテヤル」と思わないでもないが、命乞いレベルの謝罪をしてくる真面目そうな女子高生に対して「コロシテヤル」と思うほど美月氏は鬼畜ではない(相手が高校球児とかなら思っていたかもしれないけど)。

 幸い、女子高生も大きな怪我はしていなかったようなので、美月氏はとりあえず紳士的に振舞って命乞いする彼女を落ち着かせた。落ち着かせたのだが、彼女は最後まで潤んだ眼で「すみません」を繰り返していた。そこまで怖がられるとさすがに少々凹むが、余計なことを言うとかえって悪い方向に向かいそうだったので、紳士的を通り越して機械的に対応して美月氏は女子高生と別れたのだった。

 
 念のために言っておくが、別にフラグは立っていないと思う。
 女子高生も美月氏もパンはくわえていなかった。

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前ブログからのコメントの転載


Commented by Y..

命乞いww
まぁ、女子高生は事故が自分の失敗のせいなのを気に病んだんだろうなぁ(´∀`)
「謝るよりお礼を言う」も、この場合は使えないしww

そして、美月はその女子高生の学校に転校生として参上 ←だからフラグじゃないって

2009.09.18 22:52



Commented by 美月雨竜

Y..さんへ

 ちょっと泣いてたもの……。人通りの少ないところだから、しっかりと目撃した人はいないだろうけど、なんかこちらが悪者になった気分でした。

 転校……ちゃんと卒業をしているのに、23歳にもなってまた高校に行っちゃう男じゃ、立ったフラグも折れてしまいそうですね。せめて、大学なら……。

2009.09.19 00:01