白いんだか黄色いんだかわからない、液体なのか固体なのかもわからないもの

 「なぜ、人々はああもマヨネーズととろけるチーズを愛するのだ。なぜ、ああも白いんだか黄色いんだかわからない、液体なのか固体なのかもわからない薄気味悪いものを色んなものにかけようとするのだ。そして、なぜああも薄気味悪くなった食い物を見せびらかすように食すのだ。しかも、あの白いんだか黄色いんだかわからない、液体なのか固体なのかもわからない薄気味悪いものがかかったものは、なんだかちょっと卑猥なイメージだってある。いや、だからなのか? ちょっと卑猥なイメージもあるからこそ、脳細胞が桃色に腐敗した愚民どもがマヨネーズととろけるチーズを愛するのか? そうだ。そうに違いない。マヨネーズととろけるチーズを愛するものは、脳細胞が桃色に腐敗しているに違いない。それさえ証明できれば、この世から、あの液体なのか固体なのかわからない、白いんだか黄色いんだかもわからないものを抹消できるはずだ!」

 なんだか色々と面白くないことが続いた美月氏は、その鬱憤を罪もなき白いんだか黄色いんだかわからない、液体なのか固体なのかもわからない薄気味悪いものにぶつけたりして、精神崩壊を防いでいたようだが、わざわざ上記の文章をノートに手書きして、それを風呂場でちょっと大きな声で読み上げたりしている姿は、すでに充分に精神崩壊しているとも言える。
 心配する人などいないだろうが、しかし、なにか大変ファンタスティックで物好きな人がいないとも言えない。ただし、いたとしても別に心配することはなく、2ヶ月に一回くらいはこの程度の崩壊を起こしているのである。筋肉痛みたいなものである。

 しかしながら、美月氏が調子の良い時であれ、悪い時であれ、氏の目前であの白いんだか黄色いんだかわからない、液体なのか固体なのかもわからない薄気味悪いものを無闇に食物にぶっかけることは、可能な限り避けてもらいたい。でないと、それらを生産する企業に70年代っぽい爆弾がしかけられる可能性があるのである。