身体を壊さない覚醒剤。但し、トリップ中に運転すると事故ります。

 鈴木謙介さんがブログで、「ノンアルコールビールは「飲みたくても飲めない」人のための商品」だと言っていて、確かにその通りだと思うのだけど、ノンアルコールビールはもうひとつ、「飲みたくないのに、飲まなきゃいけない状況に置かれた人のための商品」であるとも思う。「酒が飲めない人が、呑みの席の空気を読むため/壊さないための商品」と言い換えてても良い。

 だからこそ酒嫌い(というか、飲まなきゃ話せないという人嫌い)の私は、ノンアルコールビールを、ホンモノのビール以上に憎く思っているのだけど、基本的には鈴木謙介さんの言うように、飲みたくても飲めない人(多くは運転者)のための商品として開発されたことは間違いないと思う。

 ただ、私が挙げた「呑みの席の空気を読むため/壊さないための商品」を踏まえて考えると、「呑みの席の空気を壊さない」ということは、ノンアルコールであれ、多少の気分の高揚はあると思われ、だとしたら、やっぱり運転しちゃいけないのではなかろうか。

 実際、ノンアルコールだとは告げず、新発売のビールだと偽って飲ませた場合、酔った時とあまり変わらない盛り上がり方になったという実験もあった。

 世の中には、酔っているわけでもないのに、酔ったように気が大きくなる人間もいるわけで、呑みの席の空気を壊さないくらい気の大きくなった人間の運転はやっぱり同じように危険だと思う。そもそも、「呑みの席の空気」自体が、とても褒められたものじゃないのだから、居酒屋に入った人間は、飲酒の有無に限らず、しばらく休ませてからでないと店を出したいけないと思う。

 どうも、ノンアルコールビールって、「身体を壊さない覚醒剤」みたいなものなんじゃないかと思ってしまう。トリップすればするほど、健康になるのだとしても、トリップしてる奴が運転したら事故るのである。