隣の人が抜いたピクルスはこちらに。私が抜いたチーズは隣の人に。

 『もやしもん』の新刊を読んだからというわけはないけど……なんてのはウソで、読んだからちょっと書いてみようと思った私と発酵食品に関しての雑文(西野円さん、かわいかったですね。ええ子に言い寄られてますね、そうえもん。いやダーリン)。

 私は漬物の類が基本的に苦手である。カレーに福神漬けはいらないし、別に極度の嫌韓ってわけではないのにキムチに近づきたくない。

 コンビニ弁当なんてそもそもほとんど食べないけど、稀に食べる場合でも、すみっこに居座っている柴漬はそれが好きだという奴にあげるし、日の丸弁当の梅干しとか邪魔臭い。

 味や匂いが苦手というのもあるけれど、おそらく漬けている姿を結構この目で見てきたからというのが、漬物が苦手な最大の理由だと思う。

 そのカビは発酵ではなく腐敗ですよね?(まあ、発酵と腐敗って、基本的には同じことで、人に害があるかないかってだけのことなんだけど)と聞きたくなるようなおぞましいカビに包まれた瓶や樽の中で発酵してゆく沢庵や梅干しを見ていると、さすがに食す気はなくなるというものです。

 どうも私は、カビに覆われている、という状況が漬物の味以上にたいへん苦手で、鰹節は幸い、削られた状態でお会いすることがほとんどなので平気なのだが、ブルーチーズやカマンベールチーズに関しては、そもそも乳製品に軽いアレルギーがあるから、食すことなんてないのだけど、アレルギーがなく、チーズの匂いも平気だったとしても、苦手なままだったと思う。エリック・サティは、果物の白いカビの部分だけ食べていたという話を聞いたことがあるが、なにしとんねんお前、という感じだ(サティの音楽は大好きだが)。

 『宇宙から来たツタンカーメン』というマニアックなうえに出来の悪いSF?映画があるが、この映画では、カビが人間を覆い尽くすシーンが何度かあり、二度と見ないと心に決めている。

 ただし、どういうわけか、これこそ苦手な人も多いのに、ピクルスは平気である。酢だって好きな方ではないのに、本当自分でもなぜ平気なのかよくわからない。

 そういえば、以前、友人から「あんたは日本食の好きな欧米人みたいな生活だね」と言われたことがある。和食が好きなくせに、日本の発酵食品に苦手なものが多くて(味噌と醤油は好きです)、そのくせピクルスやパンは平気で、豆やとうもろこしを愛する。なんだかんだで、フィッシュアンドチップスでしばらく生きていける(食生活以外で言えば、風呂に長く浸かるのは好きではないけど、身体が汚れるのは嫌なので、一日一度のゆっくりした風呂よりも、汗をかけば、その都度シャワーを浴びたい派、とか)。

 たしかに、「日本かぶれの欧米人」みたいな嗜好かもしれない(あくまで、日本人のイメージする「日本かぶれの欧米人」でしかないけど)。アジア圏にあまり魅力を感じていない、ってのは事実ではあるし。


 ところで、ツイッターで、こんなものがちょっと話題になっていた。

 http://e-tamashii.com/SHOP/ke3102.html
 “『腐らない奇跡のリンゴ』だけを100%使い、本当の醸造で造った、他にはない正真正銘のリンゴ酢。”

 菊池誠さんが「矛と盾みたいな話か。絶対に腐らない果物vs.どんな果物も腐らせる菌」と呟いていたが、本当、おかしな話である。

もやしもん(12) (イブニングKC)

もやしもん(12) (イブニングKC)