武器は蕗

 一体全体何をしている人なのか、真面目に暮らしている大勢の方々には皆目見当もつかないであろう謎人物・美月雨竜氏が、本人も「いったい、私は何をしているのだろう」と途方に暮れかけ、日々悶々としているのは、北海道のおへそ近くの片隅である。

 この、北海道のおへそ近くの片隅は、9割以上の日本人が「田舎」と感じる場所である。草木が多く、家が少なく、その数少ない家のうち3割は空き家である。

 空き家というのは、日常に潜む危険や悪意から我々を守るため、救うため、日夜たいへんな思いをし、たいへんな思いをしすぎたせいか、稀に我々に対し、日常には潜んでいなかったはずの危険や悪意を突き付けてくる警察の方々にとって、とても厄介な存在らしい。

 以前、我が父は、突然我が家に来訪した警察の方に、「あそこの空き家はどなたが所有しているのですか?」と訊かれたことがある。なぜ、我々を危険や悪意から守りつつ、たまに危険や悪意を押し付けてくる警察の方が、我が父にそんなことを訊く必要があるのかというと、ああいった空き家には、警察の方々が、稀にその存在意義とは真逆の方向に走ってしまうほど疲弊する要因の一つであると思われる指名手配犯という奴が、潜伏していたりするからである。

 ここ北海道のおへそ近くの片隅は、冬はともかく、春から秋にかけては、そこらじゅうに頼んでもいないのに無理をすれば食べられる植物や、無理をしなくても食べられる植物が、まるで支配者のごとく繁栄している。潜伏するには、確かにもってこいの場所である。

 幸い、私の知る限り、近辺の空き家に、警察に追われるような悪さをした外道さんが潜伏していたことはない。だが、空き家のくせに、何かしらの人の気配のする所は、なんとなく注意して観察することにしている。

 余談……水辺ではなく、道路脇に繁栄するフキは、固くて食用には適さない。だが、適さないだけで、食えないわけではないようだ。

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 さよならポニーテールの「神さま」が二代目になった。「ゆりたん」から「ちぃたん」へ。
 終わらない日常なんてない。本当でした。