自室のパソコンから、このブログを書いているわけだが、おそらく私の半径2㎞圏内に1頭くらいは、今も存在しているのだろう。熊が。
吉村昭の『羆嵐』を読んで以来、山菜採りなどで山に入る際の最大の恐怖は、やはり熊である。単純に遭難した場合のサバイバル術は色々勉強したが、いざ熊と出くわしてしまった場合は、ほぼ無力である。色々と対策はあるようだが、目の前に、でかい熊が現れて冷静でいられる自信はない。
隣のおっちゃんは、狩猟用の銃を所有しているのだが、当然私は所有する権利など有していない。熊を撃ち殺すどころか、楽に死ぬために、自らの頭をライフルで撃ちぬくことすらできない。生きながら腹を食い破られてる可能性大である。
しかし、これだけ恐ろしい存在でありながら、熊はやたらと「可愛いキャラクター」にされている。西洋でも、東洋でも、愛すべきクマさんのお話は、昔話からごく最近のものも含めたくさんある(ちなみに、西洋で狼が悪役にされ易いのは、羊飼いが多いせいだろう)。「クマ」というあだ名の人間も、大抵いい奴である(ガタイはいいけど、優しい人につけられる印象)。
現実の熊も、人を襲いさえしなければ、その姿は、たしかに愛らしいところがある。いつだったか、衝撃映像特番で、ピクニック中に小熊と遭遇した一家は、近くに親熊がいるかもしれないことに気づき立ち去ろうと考えたのだが、幼い子供が「おいでー」と大声で呼んでしまい、肝を冷やした、というような映像が紹介されていたことがあったが、無垢なちびっこ(直訳:バカなガキ)でなくとも、映像の小熊に対し「カワイイ〜」と大きな声を出す奴は結構いそうだ。
そういえば、熊からみの話では、日本映画学校の先輩にあたる李相日監督(『フラガール』や『悪人』の監督)は、名前からもわかる通り、在日コリアン(三世)で、朝鮮学校に通っていたのだが、修学旅行で北朝鮮に行った際、泊ったホテルの中庭の檻で熊が飼われていて、その熊が次の日の朝食になって出てきたらしい。
あずまきよひこの『あずまんが大王』で、よみさんが榊さんにあげた北海道土産は「熊カレー」だったが、実際にあの「熊カレー」を食した、我が友人“小麦と会話する男”は、「たいして美味いものではないが、なにか神聖な力がみなぎるようだった」と証言している。
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