「あなたの何気ない親切や温かみによって傷ついている人がいます」

 郵便局員からの年賀状は遅い。

 美月家は、諸事情により郵便関係者の知り合いが多いのだが、1月1日に彼/彼女らからの年賀状が届くことはほとんどない。

 配る側のため、自分の年賀状までなかなか手が回らない、というより、正直年賀状を見るのも嫌なのだろう。家族がいる者は、すべて任せていたりする。

 北海道という土地柄もあるかもしれないが(北国で年賀状を配達するということは、すなわち雪が積もり、アイスバーンと化した極寒の道路を原動機付き自転車で走り回るということである)、郵便局関係者、特に配達に直接携わる者にとって、年賀状を出すという行為は、仲間を苦しめるのと同義なのだ。

 そんなこともあって、義務教育を終えてから、私は年賀状を書いていない。付き合いがいまだに続いている友人が、揃いも揃って年賀状どころか年賀メールすら送らない奴が殆どだからということもあるが。