歯科医でノスタルジー

 定期健診のために歯医者へ行ったら、待合室のテレビで「みんなのうた」が映っていて、私が見ていた頃の「うたのおにいさん」である坂田おさむさんの「ねむいいぬ」という歌が流れていた。
 今、通っている歯医者は、私が小さい頃から通っていたところで、設備は多少変わりはしたが、内装や雰囲気はほとんど変わっていない(清掃はしっかりされていて、とても綺麗)。以前書いたが、もっと頻繁に通っていた総合病院は、すっかり様変わりしてしまっているため、「病院」で昔と変わらぬ姿を見せてくれるのはここだけ。なんだかおさむおにいさんの歌とも相俟って意味もなく涙が出そうになってしまった。30歳になろうかとする男が、歯医者の待合室で涙なんか流していたら、もう不審者と思われても仕方ないので、必死に堪えた。なるべく、治療室側から流れてくるクラシックに耳を傾けて……。

 そんなわけで、歯医者に行くのが結構楽しみな稀有な市民です(まあ、中には、やらしー感情を抱いて歯医者に通う男どももいるそうですが)。