小路幸也先生が日記の中で『エデンの東』について触れ、「名作と呼ばれるものは何でも観たほうがいいよ」と言っているのだが、どうも私は、特に映画に関しては、怪作・珍作・問題作ばかり狙って観ていた感があり、名作中の名作と呼ばれる作品で、いまだに観ていないものが結構ある。実際、私は『エデンの東』を最後まで観ていない(あのテーマ曲は大好きで、何度も聴いている)。まあ、『エデンの東』に関しては、ジェームズ・ディーンがあまり好きではないというせいもあるが(そのくせ、デニス・ホッパーは大好きなのだ)。
考えてみれば、好きな役者に関しても、ジェフ・ゴールドブラムだのウィレム・デフォーだのジェイソン・フレミングだの本田博太郎だの、人間かどうかも怪しいような人が多く、そもそも色恋やら感情の機微やらよりも、人間がまだ誕生していない時代(恐竜とかアノマロカリスとか)や宇宙の神秘だとかの方に心を惹かれるタイプなわけで、やっぱり芸術系の道につま先だけでもつっこんでしまっているわりには、人間に興味が薄すぎるんじゃないかと、今さらながらに思っている。
そういえば、映画学校の同期で、今の所もっとも関わりが多い(向こうは、たぶんそうではない。私が同期生どころか映画学校自体との関わりが少ないだけだ。そもそも、彼とだってここ最近はあまり話したりしていない。もっと言えば、ごくわずかな腐れ縁仲間と家族を除くと、私の交友関係というのは非常に狭い。阿良々木暦君を決して笑えないレベルだ)脚本家の真子晃君もツイッターで、興味の対象が文系ではなく理系だということをこの間呟いていたが、その後「付き合うなら理系の子がいい」と呟けるだけ、私よりは軽症だと思う。私は、たとえ趣味や興味対象が理想的なまでに一致している子が現われても、友達以上の関係になるのは面倒くさいと考えてしまう。
ちなみに、じゃあ二次元なら良いかというと、そうでもなく、相手が二次元であっても、恋愛沙汰になると面倒なので、正直『ときめきメモリアル』にしても『ラブプラス』にしても、プレイ自体はすぐにしんどくなってしまうのだ。結果、せいぜいアニメ版やら漫画版やらで、他人の恋をよそで覗いてる感覚で充分という形になる。
美少女ゲームにおける「攻略」というのは、告白されること(恋愛的な意味でのお付き合いをすること)なわけだが、いっそ、絶対に告白されてはいけないゲームがあったら、私は案外ハマるかもしれない。恋愛感情を相手に持たせず、しかし友達としての付き合いを継続していくのが目的というゲーム。ゆえに、明確なクリアというものはないのだが、そこは『笑っていいとも!』グランドフィナーレでの中居正広の名言「バラエティは終わりのない所に向かっている」のような気分で臨もう。まあ、別にいまだに「終わりなき日常」を生きろ、なんて気分ではないのだけど。絶対、終わりは来るしね。遅かれ早かれ、人は死んじゃうから。でも、本当に終わりのないものを考えるとなると、それは結局、宇宙の神秘的な話になるわけで、ああ、やっぱり私はそっちに興味があるんだなあ、と。終わりどころか、始まりすらよく分かっていない。少なくとも自分には分かるはずなんかないと思いつつ、分かりたいと思う。
人の心もそれに近いだろうと言われるかもしれないが、人の心は、わかってしまうとつまらない気もする。とりあえず、この辺の感覚の差を、もう少しじっくり考えてみた方が、私は良いのかもしれないな。
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