アッバス・キアロスタミの『友だちのうちはどこ?』の撮影のために、お気に入りのポートレイト写真を破られてしまった(泣く姿を撮影するため)少年は、今どうしているのだろう。このエピソードは、フィルムアート社から出版されている「Cine Lesson」シリーズの第8弾『〈ネオ俳優主義〉の見方』に書かれていたのを読んだだけなので、その後どうなったのか、写真は複製しておいたのか、少年の承諾を得たうえでのことだったのか、そもそも本当にあったことなのかまでは分からない(調べていない)。だが、この話が事実だとしたら、結構な心の傷になっていてもおかしくなく、もし自分がその少年の立場だったら、その後、世の中の映画関係者すべてを恨み続けて生きていくことになった気がする。
黒澤明が、撮影のために民家の二階部分を壊した。駐車してある車がカメラのアングルに入って邪魔だと監督から言われた助監督時代の三池崇史が、その車の屋根をカナヅチで凹ませた。こんなエピソードが、まれに「映画界」では美談のように語られる。映画学校時代、映画美術の大御所・稲垣尚夫が講義の中で、撮影場所付近に住んでいる老人が長年愛してきたらしい大木を監督からの指示で切らせてもらうよう説得してこいと言われ、なんでこの監督のワガママのためにそんな大切な木を切らなきゃいけないんだと思ったと言っていたが、それが当然の反応だと思う(どうも稲垣さんは、そういった映画界の黙認されてきた理不尽さに対してかなり批判的なようであった)。
映画撮影における制作側の苦労みたいなものを描いた映画はたくさんある。だが、映画撮影によって犠牲になった側を描いた映画というのは、私の知る限りあまりない。近年では、『相棒』シーズン7、第16話「髪を切られた女」が最もそういった「映画人の無神経さ」が描かれたものだと思うが、あれはテレビドラマであって映画ではない。映画人は映画を貶めたくないのだろうか。
「泣く姿を撮影するために、助監督にお気に入りの写真を目の前で破られ、その後ぐれてしまった少年の物語」(『監督のうちはどこ?』)
「巨匠が傑作を撮るために思い出の詰まった家を壊された少年の物語」(『僕の家は撮影場所だった』)
企画として通してもらえないかもしれないなあ。
というわけで、遊び的にそんな妄想。
撮影の為にお気に入りの写真を破られた少年が、監督の家を探しだし火を放つ。炎に包まれる監督宅。その様を「最高のショットだ!」と叫んでキャメラを向けるラース・フォン・トリアー。家も監督も燃え尽きた後、横で見ていたタルコフスキーが言う。「構図がイマイチだ。もう一回」
「ネオ俳優主義」の見方1980‐2000 (CineLesson)
- 作者: 杉原賢彦,フィルムアート社編集部
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/09/21
- メディア: DVD
- クリック: 75回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
――――――――――――――――――――――――――――――
呟き散らかしたこと
前にも呟いたことだけど、無知で無神経なだけのことを「少年の心を忘れない」とか言わないでほしい。ハックとトムを愛する者として、そんなものを「少年の心」と呼ぶな、と。「少年」は「無知で無神経なおっさん」ほど愚かじゃないよ。
「物語の中の少年があなたよりも賢かったからといって、“リアリティに欠ける”ことにはならない。大抵は、あなたが物語の中の少年より愚かなだけだ」
「色んな本やら意見やらに触れすぎると元々の自分の考えが曇るって言うけどさ、曇るような考えって大抵穴のある考え方ってことなんだから、もっと曇らせて、改めて考え直した方が良いんじゃないの?」
出来損ないの物語でも事実と偽って語れば受け入れる者が現われるように出来損ないの手品も超能力と偽って披露すれば涙を流す者が現われるわけですよ。重要なのは演出ですよ。
「宗教ってのはね、演出ですよ――目に見えないものを信じさせるわけですから、ものすごい演出が必要なんですよ」(嬉野雅道)
- 作者: マークトウェイン,Mark Twain,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/06/27
- メディア: 文庫
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
- 作者: マーク・トウェイン,Mark Twain,村岡花子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/03/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
- 作者: 勝浦吉雄,マークトウェイン,Mark Twain
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1989/12
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
- アーティスト: ユリ・ゲラー
- 出版社/メーカー: LD&K
- 発売日: 2005/01/26
- メディア: CD
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
急にジョニー・ラングとか聴きたくなってね。25を越えたあたりから、ブルースがとても心地よく感じるようになりましたよ(日本のブルースはいまだに、そのほとんどが苦手ですが)。まあ、この動画のジョニー・ラングは当時17歳ですがね。ジョニー・ラングみたいな声になりたかったが、下手に酒でうがいしたりして声を潰したら、上田正樹みたいになるんじゃないかという不安もあるので、それはしない。
Jonny Lang/Lie To Me
- アーティスト: ジョニー・ラング
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1997/06/25
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
『ツイン・ピークス』の新シリーズが2016年放送、監督はデヴィッド・リンチ
http://www.cinra.net/news/20141007-twinpeaks
デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか? デビッド・ドゥカブニーは出るのか?(ヒマワリの種は口に合わなかったぜ、モルダー君。カボチャの種は好きだが)
ツイン・ピークス ゴールド・ボックス(10枚組)(初回限定生産) [DVD]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2007/11/09
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 65回
- この商品を含むブログ (68件) を見る
X-ファイル シーズン1 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
しかし、コーラル・キャッスルについて考えるたびに、『ツイン・ピークス』のテーマ曲だったジュリー・クルーズの「フォーリング」が頭の中で流れる。私は、Keyの美少女ゲームにハマっている人に会うたびに、コーラル・キャッスルの話をしている。コーラル・キャッスルの話を聞いて、「泣きゲー」的な感動しかしない場合は、たぶん重症なのだろう、と。
「一途」であれば、なんでも感動してしまう人なら、コーラル・キャッスルもただひたすらに感動的なお話だと捉えるのだろうか。私はデヴィッド・リンチかピーター・グリーナウェイあたりが撮ればいいと思っているよ。
「たとえば私が“別れた彼女との結婚生活を思い描いた小説を書いてみました”なんて言ったら、あんただって絶対“うわ、気持ち悪っ!”って思うだろう?でも、コーラル・キャッスルって、それの強化版だから」(注意:美月雨竜氏に、別れた彼女はいません。今も昔もいたことがありません。「彼女」が)
- アーティスト: Julee Cruise
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1994/07/08
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
- 出版社/メーカー: KEY
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: DVD-ROM
- クリック: 40回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
【Amazon.co.jp限定】ピーター・グリーナウェイ コレクターズ Blu-ray BOX[1000セット完全数量限定]
- 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
- 発売日: 2011/05/27
- メディア: Blu-ray
- クリック: 42回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
「デーブ大久保とバーブ佐竹は親子だ」って言っていたのは誰だったかなあ……。勿論、両氏は親子ではない。
必要があって、シーラカンスに関して色々と調べてる。急にそんな必要が生じる事あるの?と思われるかもしれないけれど、そういう人なんです。ところで、ミスチルに「シーラカンス」という曲がありますが、私はANIMAの「シーラカンス」が好きです。
ANIMA/シーラカンス
- アーティスト: ANIMA
- 出版社/メーカー: HEADZ
- 発売日: 2009/07/02
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ダン・エイクロイドっぽく歌ってくれるボーカロイド。商品名はやっぱり「ダン・エイクろいど」?
Rawhide - The Blues Brothers (5/9) Movie CLIP (1980)
同じ例だとハロルド・ロイドもじゃね?と某知り合いが言っていたが、サイレント時代の喜劇王のボーカロイドを作ってどうする。まあ、チャップリンの歌声は有名だけどさ。チャップリンの「歌」だと「Swing little girl」が一番好きです。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/04/13
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
ハロルド・ロイド COMEDY SELECTION DVD-BOX
- 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: DVD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
- アーティスト: 映画主題歌,ザ・フューリーズ,チャールズ・チャップリン
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2003/05/21
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
西野カナの新曲の歌詞が夫婦ものの演歌ではないか、という指摘がツイッターで流れてきたのだが、西野カナや加藤ミリヤあたりは、以前から鈴木謙介が「ギャル演歌」と名付けているわけで、新曲だけに限った話ではない。しかし、今も昔も西野カナ的な歌詞が「演歌」だとするなら、三橋美智也や三波春夫って演歌じゃないってことになる気がするのだがなあ。まあ、三橋美智也や三波春夫は、民謡/浪曲が根本にあるわけで、その辺りのルーツの差か(そもそも元々演歌とされていたものは、今の演歌とはだいぶ違ったようだし)。「達者でナ」なんてブルースだと思う。ついでに言えば、喜多條忠と伊勢正三はフォークかもしれないが、南こうせつと山田パンダはカントリーだと思う。「うちのお父さん」なんて、ジョン・デンバー以上にカントリー。
- アーティスト: 西野カナ
- 出版社/メーカー: SME
- 発売日: 2014/10/15
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- アーティスト: 三橋美智也
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2013/10/09
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
「よし、これから“はっぴいえんど”として頑張っていこう」と決意を固めた時、ふと傍らの細野晴臣を見るとなにやらノートにびっしりと書いていて「細野さん何書いてるの?」と訊くと「次のバンドの名前考えてるんだ」と言われた時の鈴木茂の気持ち。
鈴木茂 BAND WAGON -Perfect Edition- (DVD付)
- アーティスト: 鈴木茂
- 出版社/メーカー: 日本クラウン
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: CD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
ピーター・フランプトンはレコードは持ってる。CD化されたものは、未購入。
Peter Frampton/Show Me The Way (Live Miami)
- アーティスト: PETER FRAMPTON
- 出版社/メーカー: A&M
- 発売日: 1998/08/18
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
「吟遊詩人」に憧れているわたくし。『FF4』のギルバートさんは、ギルバート・オサリバンのイメージも入ってるはずだと勝手に思っている。
Gilbert O'Sullivan/Alone Again (Naturally)
- アーティスト: ギルバート・オサリバン
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2001/05/23
- メディア: CD
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (37件) を見る
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: Video Game
- 購入: 10人 クリック: 116回
- この商品を含むブログ (266件) を見る
ちょっとロードレースの中継を見ていたのだが、『カメラが捉えた決定的瞬間』の観過ぎで、脳内で勝手に「20○○年○月○日、日本GP。トップを走るデービッド・ダグラスのマシンが後続のマシンと接触。デービッドはもんどりうって転倒、大腿骨骨折の重傷を負った」みたいなNAが再生される(「デービッド・ダグラス」という名前のロードレーサーが存在しているかどうかは知らない。勝手に適当にでっちあげただけです)。矢島正明の声が聞こえるのさ。