やーしょー、同じ石田でも、絶対ジュンイチみたいにはなるなよ。

 『聲の形』最新話を読んで、感じたり考えたりしたことをだらだらと綴ってみようの回。第57話「さいかい」編(ネタバレ注意)。

聲の形(6) (講談社コミックス)

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 いきなりですが、面白くないとか、冷めたとかではないのだけど、将也が目覚めて以降、考察しようという気になれないでいます。……というのもですね、残り5話という段階でありながら、なんだか色んなことが綺麗に丸く収まっている印象があって、私はもう硝子には辛い目に遭ってほしくないので、出来すぎと言われようがリアリティに欠けると言われようが、このまま穏やかに最終回を迎えてほしいのですが(これまでの展開で充分すぎるほど、えぐりまくられたわけですから、終わりは多少強引でも良いと思っています)、なんだかまたとんでもないものを突き付けられてしまいそうで、しかもこのタイミングでそんな展開になったら、胃に優しいエンディングなど迎えられそうにないわけで、ゆえに第57話現在で描かれていることだけでは、先が不安過ぎて、なんだか素直に喜びも悲しみも出来ず、これじゃあ最終回を迎えるまでは「考察しよう」という気分にはなれないよなあ……と。それでも、いくつかの点について、細々と考えてみたりすることにします(優しい展開なのに、それがかえって不安を増幅させ、すっかり私弱っております)。


 さて、まず一つ目の話題(最初は軽い話題から)。誰とは言わないが、今週号に限らず、彼女が泣いたりしおらしくなったりした時「お?」と思ってしまうのは、基本的にタイガー・ジェット・シン現象(いつも暴れながら入場するタイガー・ジェット・シンがまっすぐリングに歩いて来ただけでいい人に見えた、という現象。『さまぁ〜ず×さまぁ〜ず』で三村さんが言ってました)でしょう。まあ、タイガーさんは普段は本当に紳士らしいですけどね、あの黒髪と違って。ところで、「植野」「タイガー・ジェット・シン」で検索してみたら、『めちゃイケ』の「めちゃ日本女子プロレス」でデニスの植野行雄がタイガーを模した姿で登場していたことを知った。「タイガー・ジェット・ユキオチャン」。とても弱そう。というわけで、結局、私の中での悪者度数は植野(直花)>タイガーさん(普段は紳士)>植野(行雄)です(あ、もう名前出しちゃった)。


 それにしても、第57話は「真柴君!(涙)」な回だった。最初に顔から×がとれる橋メンバーが真柴だというのは、ちょっと意外だったが、たしかに真柴自身が言うように、将也は真柴には暴言を吐いてない(吐く必要がなかった、吐くほど深い関係ではなかった、ということでもあるが)。ただ、川井が植野の悪行を将也に伝えようとしたのを制した言葉が「まあいいじゃん今は」なのがちょっと気になる。「今は」……。「まあいいじゃん今は(文化祭終わったら謝罪会見開いてもらうけどね)」ってこと、真柴君? いや、植野にとっても川井にバラされたり、延々怯えながら黙っているよりは、自分からすべて吐いてしまった方が良いとは思うけど(まあ、そんな選択ができるほど成長/変化しているのかとも思うが……)。でも、冗談抜きに、真柴は、ひょっとすれば石田ママより先に、良い事も悪い事も含めて、もっとしっかり話す場を設けてきそうな気がしないでもない。将也がかつて真柴に対して感じた「良い奴だけど怖い奴。そして少し羨ましい」という印象は、真柴が変化した後も変わらず、いや、より強くそう印象づけられることになるかもしれない。『聲の形』は、何よりも「将也の物語」であることを考えれば、植野や川井、あるいは佐原よりも真柴が重要人物なのでは、とも感じる。

 
 逆に植野は、「将也の物語」の重要人物というより、植野にとって将也、そして硝子が良くも悪くも「重要人物」であるということなのかもしれない。つまり、植野は『聲の形』の準ヒロイン/重要人物ではなく、読者に好かれるか嫌われるかは別として、徹底して「植野直花の物語」の主人公として存在しているのではないか、と。残り5話の中で、さらなる成長/変化が描かれようが描かれまいが、そのことは変わらないかもしれない。この57話で植野が浮き気味なのも、単に植野が他のメンバーと比べて目立って変化していないからだけではなく、そもそも植野が『聲の形』の登場人物である以上に、「植野直花の物語」の主人公だからではないだろうか。『聲の形』という物語がどんな結末を迎えるのかはまだ分からないが、『聲の形』における植野の結末が、将也への思いを過去のものとして卒業し、新しい未来に向かっていくというような形になった場合、ひょっとしたら『聲の形』の続編ではなく、まったく別の大今先生の新作として「その後の植野の物語」が描かれるのでは、と期待したりもしている。『聲の形』、特に硝子に感情移入しまくりの私としては、『聲の形』の中の植野は、もう幸せにならんでも良い!とさえ思っているのだが、キャラクターとして面白いのは確かであり、大今先生の新作が上記のような「その後の植野を描く、まったく新しい物語」だったとしたら、また喜んで連載を追い続けることになると思う。ひょっとしたら、バルザックジョイス、あるいは近年なら阿部和重伊坂幸太郎的な人物再登場やリンク、スターシステムなどが張り巡らされた大今クロニクルが最終的に出来上がるかもしれない。


 ところで植野と言えば、将也×植野派の人だと思うが、「将也と植野はもうちゅーしてるから猫ポーチがどうのって言われても」という書き込みがあった(おそらく、佐原に植野が餌付けされているシーンで、植野が泣いている理由と思われる、硝子の猫ポーチのこと。ちゃんと大事に使い続けてるのね、硝子。なんか川井が「このポーチ可愛いねー」とか言ってるような姿も描かれているので、植野には余計ぐっさり刺さったのだろう、きっと)。だが、あれは以前も書いたが「ちゅーしてる」のではなく、将也からすれば知らんうちに勝手に奪われていた、つまり襲われてただけのことであり、まともに考えれば、ちゃんと将也と交際したいのなら、硝子への暴行や病室の籠城以上に植野はあのキスのことは隠しておかなきゃいけないだろう(硝子信者の私としては、そりゃ許すつもりはないのだけど、物語の中の今の将也なら、その時の感情を説明し、やりすぎだったこと、それまでのことなどちゃんと反省すればその後いい感じに……というのはなくもないと思うので。幸いと言うべきか、籠城や暴行のことは他の面々にも知られているが、籠城していたがゆえに、「ぷはっ」は神と植野のみぞ知る行為に留まっているわけで)。

 「ぷは」だけがバレるなんてことはないわけで、それがバレた時には、すでに暴行も籠城もバレていると考えるのが自然だろう。だとすれば病院前の暴行どころか、それまでの硝子への攻撃も全て歪んだ「一途な」、そして醜い恋心と嫉妬によるものだということも必然的に察せられてしまう。

 しかし、もし、将也が寝ているうちにキスされてたことやその他諸々のドロドロ感情を知った上で植野になびくような奴だったら、それは将也にがっかりであり、「硝子ちゃん、そんな軽くて危なっかしい昼ドラ男とはくっつかん方がいいぞ」とさえ思ってしまう。というか、将来的なことを考えれば、植野にも「そんな奴はやめておけ」と言いたくなる。……まさか、将也の名字が石田なのって石田純一(出演するドラマだけでなく実生活さえも昼ドラ色に染まった、あの石田純一)と関係あるわけじゃないよね? そんなことないですよね、大今先生?(急に不安になってきた……)。

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マイライフ―The day in my life

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「天国の恋」オリジナル・サウンドトラック

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知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)

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若い芸術家の肖像 (岩波文庫)

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ピストルズ

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オーデュボンの祈り (新潮文庫)

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 以下、遊びネタ。


 将硝どうでしょう(水曜どうでしょう×聲の形)第7話
 ※マガジンは水曜発売です。

(ようやく少し反省したらしい植野編)
真柴「まあいいじゃん今は。ただ、文化祭終わったら、すぐ謝罪会見開くよ。ただでさえみんな落ち込んでるところを更にひっかきまわして色んな人を傷つけたんだからね。どうも、すいませんでしたって」
植野「土下座して謝る……弁護士も雇わない」
川井「言われるがままの刑を受ける覚悟なんだね」
佐原「大丈夫?ここ漫画の世界だから懲役二百何十年とか他の漫画の世界に飛ばされるとかあるかもしれないけど」
植野「し……進撃の巨人の世界とかに送られるんじゃないよね? そこに二百何十年入れられるんじゃないよね?」
永束「進撃の巨人の刑は最悪だな……。進撃の巨人の刑に処す」
(『水曜どうでしょう「ジャングル・リベンジ」』より)

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)

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聲の形』に関することをメインにしたエントリの目次ページ。
 http://d.hatena.ne.jp/uryuu1969/20150208/1423380709

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 呟き散らかしたこと

 西島大介ディエンビエンフー』最新第11巻入手。『聲の形』最新巻(第6巻)の発売日だが、おらが町には未到着。故にDBP!(こっちも発売日には当然届いていなかった)。 初読は余計なこと考えず楽しむ。うっひゃあ! 実況したくなる楽しさ。物体X? マイケル? デラックス? カイエ・デュ? ほほえみデブ? たいしゃー! ゴーストバスターズ!(これはヤンアラ。同じく西島先生の『ヤング・アライブ・イン・ラブ』第3巻も購入しました)。シンジ君だって『鋼鉄のガールフレンド』のエンディングの一つでロボシンジにされてたのだから、そりゃティムだってロボ化されるよね。あと、21世紀のベトナムどうでしょう班が荒らしたんだよな。♪べやなーむ、ほーちーみん。そんなことを思いながら頁をめくる。それがどうでしょうバカの『ディエンビエンフー』の読み方。フランス文化人代表、カイエ・デュ・シネマ撮影隊より北海道代表、どうでしょう班の方が強いって! ……興奮し過ぎだド。

 ちなみに、『ヤング・アライブ・イン・ラブ』第3巻では、『あまちゃん』で大吉さんがしつこく「ゴーストバスターズ」を歌っていた理由が判明!!(嘘) ゴーストバスターズ
そういや、ヤーボ大佐とマシュマロマン、ちょっと似てる。だから、たぶんマシュマロマンも痩せれば超絶イケメンなんだろう。


Ray Parker, Jr./Ghostbusters

ディエンビエンフー 11 (IKKI COMIX)

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「とにかく自殺は悪」という考え方を持つ者の中には、「そう考えておけば、相手を死に追い込んでも罪悪感を感じずに済む」という理由が透けて見えるような人がいる。