漫画家になりたい、プロでなくとも漫画を描きたいという気持ちがカケラもないから、漫画が他のジャンルと比べて感想や考察を口にしやすいというのはある。私は、鑑賞はともかく、絵が描けない。いや、描くことの楽しさを感じる力が欠落している。「好きな絵」はあるが、完成品に感動するだけで、過程に興味がいかない。
絵が描ければ便利だなと思うことはある。だが、描けたら楽しそうと思うことがない。絵を描くことが楽しい人を否定するつもりは当然ないけれど、自分には「絵を描くことを楽しむ」という力がどうも備わっていない。映画学校在籍時、かなり苦労したことの一つが絵コンテだった。言葉で説明したくて仕方なくなる。
そういえば、楽器の演奏自体も「楽しく」はないんだよなあ……。いい曲を作りたい、いい音を出したいとは思っても、単純に「楽器の腕を上達させたい」とかは思わない。上手になった方が便利だから練習するだけだ。「とりあえず弾きたい」という気持ちには、なったことがない。
まあ、何が言いたいかといえば、褒めあうにせよ、貶しあうにせよ、「絵を描く」という行為そのもので繋がっている場は、私が踏み込んじゃいけない場だなと。まるで分らない言語の人たちの中に放り込まれる気分になっちゃうからね。