「ここには正直者で賢い人間が代々住むだろう」(第2代アメリカ合衆国大統領ジョン・アダムス)

「キャンプ・デービッドに行った時、樫の木の下にドングリがそりゃいっぱい落ちてるのを見つけたんです。そこで私は、ふと思いついたんです。ホワイトハウスのリスたちには滅多にありつけるもんじゃない。で、ポケットにいっぱい入れて持ち帰ったわけ。ホワイトハウスに戻ってバラ園の周りでドングリを投げてやると、リスが集まって来て、争って食べたんです。大喜びでね。で、ある日、キャンプ・デービッドから帰った時、私はドングリをひとつも持ってなかった。その日、私はホワイトハウスで会議をしていて、ふと外に目をやると、窓という窓にリスがたくさん集まって来ていて、後ろ足で立って前足をこちらに向けて、何かをねだってるんだ。はっきり聞こえたよ。“大統領、ドングリはどこ? お土産はないのかい?”ってね」(ロナルド・レーガン


 1997年に放送された『世界まる見え!特別版 史上初公開!ホワイトハウス そのすべて!!』で紹介されていたことなのだが、ホワイトハウスの南庭には、リスがたくさん棲みついていたらしい。ウィルソン大統領は、ここで羊を飼い、初めてヘリポートとしても活用したそうだ。アイゼンハワーはゴルフのパット練習場を作ったが、芝を荒らすリスのことを、ひょっとしたら共産主義者以上に憎んでいたようで、ニュースにもなったという(当時のニュースで「相手が共和党なのか民主党なのかさえ誰にも不明」と報道されていたようだ)。

 私は、このホワイトハウスの南庭に棲むリスたちのことが、ベルリンの壁の間の外敵のいないパラダイスに取り残されたウサギたちと同じくらい妙に気になっていて、いつかピクサーあたりが、このリスたちを主人公にして、同時にホワイトハウスの歴史をも辿るような長編アニメ映画を制作してくれたら嬉しいなと思っている(ホワイトハウス伝統のデザートであるアーモンドヌガーバスケットは、きっとリスたちの口にも合うことだろう)。

 ちなみに、私の実家の庭にもリスが棲んでいる。ホワイトハウスほどの人口(?)を抱えた国家ではなく、ひと家族程度ではあるが。同じく庭によくやって来るカラスたちと、どうやら敵対関係にあるらしい。基本的に齧歯類が好きなので(だから、『ジーンダイバー』のティルも好きなのだろう)、リスたちに味方したいところではあるのだが、カラスも嫌いではないので、彼らの争いには干渉しないようにしている。