なぞのやさい星人あらわれず

 ツイッターで「田舎の恐ろしい所を紹介しよう」というツイートが流れてきた。私の在住地は間違いなく田舎なのだが、基本的に当てはまる要素はなく、北海道の「田舎観」とそれ以外の日本(北海道の人間的に言えば、いわゆる「内地」)の「田舎観」という大雑把な分け方をしても大きく異なってくるのに、私個人の育った土地と、呟き主の育った土地という個別の田舎観となれば、なおさらのことであろう。

 さて、そんな「田舎の恐ろしい所」のなかで、特に気になったのが「玄関に野菜のお裾分けが置いてあるが、書き置きも無く誰が届けたか3日以内に当てないと悪い噂を流される」というものだった。私の家でも、たまにジャガイモやブロッコリーをお裾分けしてもらっているが、基本的に特に仲良くしている人からのみであるし、勝手に置いていかれるなんてこともない。また、出荷からあぶれた分の処理という意味もあるので、お裾分けする側からしても「もらってくれたほうがありがたい」という面もなくはない。

 だいいち、この一帯の家庭は、ほとんどが大規模と言っても良い農家で、栽培している作物も被っている。農家同士のお裾分けはあまり意味がなく、私の家は数少ない非農家であるために、お裾分けの対象になり得ているに過ぎない。大量にいただいてしまうので、いくつかは食べきれずに芽が出てきてしまったりするが、それも両者分かったうえのことである。食料自給率が誤植のような数字を叩きだす、この土地ならではの感覚なのかもしれない。

 ちなみに、どこの家のものとも分からない作物が家の前に転がっているということがないわけではない。しかし、これは本当に「転がっている」に過ぎない。つまり、出荷するためにトラックなどに積まれたものが、こぼれ落ちただけなのである。それを拾う者は野良の動物以外には存在せず、せいぜい近くの畑に捨てて肥やしになるだけである。

なぞのやさい星人あらわる

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