継続は力なり、という言葉をあまり信用していない人間が継続の努力を継続してみる

 2017年の正月三が日を終えてから、ツイッターで文字数制限140字ちょうど(ただし「」付きなので、実質138文字)の短いお話を毎日投稿している。どれだけ続くか分からないけれど、今日まではなんとか途絶えずに投稿できている(しかし、ツイッターにおける日付変更時間の問題なのか、投稿日時が遅れていたり、重複してしまったものがある)。

 以下が、今日まで投稿してきた分。見た夢を元にしたものも多く、特に意味のない、なんとなくの思いつきである。



「林檎を齧ったことのないベイさんは、どんなにお腹がいっぱいでも食べ物を残す人間は悪人だと考え続け、私は知恵をつけないとこうなってしまうのだなと思い、もいだ林檎を芯だけ残して齧りつくし、でもまだ食べられる部分が残っているかもしれないので、歯のないベイさんの口に突っ込んでおきました」(2017年1月4日水曜日)

「近所の小学校の田んぼにホトケサンゴが大発生して大変な騒ぎになっている。やかましい子供たちが餌食になればいいと考えた私の仕業なのだけれど、田んぼの管理を免れた子供たちは鬱憤が吹き飛んだのか、とてもおとなしくなってくれたので良しとする。あとは、やかましい大人たちをどうするかである」(2017年1月5日木曜日)

「湖に映った空しかあの娘は見たことがないので、猫をおびき寄せるように目の前に指を出し、ゆっくり空の方向へ視線を誘導させてみたのだけれど、わたしは本当の空が見たいわけじゃないと言われてしまい、湖に身投げしたい気分になるが、これ以上あの娘を怒らせるわけにいかないので生きることにした」(2017年1月6日金曜日)

「親父の背中ほどの大きさの石板の前で3歳になる息子が、もう死んじゃうの?と何度も尋ねてくるので、死なないよと声をかけようかと思っていたのだけれど、世界が息子の顔にズームインしていくので、声をかけるタイミングを見失ってしまい、息子が不安なまま生きていくのかと思うと涙を堪えきれない」(2017年1月7日土曜日)

「庭の隅に居座っている大きな犬が肉まんを食べたがっていることがなぜか理解できてしまい、一個あたえてやると、もそもそと食べはじめ、食べ終わると礼のような動きをする。それから数日ごとに肉まんを欲していることが伝わってくるが、他のことはわからない。他には何も考えていないのかもしれない」(2017年1月8日日曜日)

「彼女が、最近目覚めるといつも目がぱんどりなもるむ、と言うので、寝る前に必ずゆうぐれな、とアドバイスしてあげると、ためしてみたんだけれど腰がぼるぼっくす、なんてことを言いだす。だから僕らは世界が小さいままなのだろうと思うけれども、好きでやっているのだから僕も彼女もくらみどもなす」(2017年1月9日月曜日)

「友人の部屋の壁に小さなひびがあり、覗いてみると奥のほうで心臓らしき臓物がゆっくり鼓動している。友人は幼い頃から、たまにこの心臓を爪楊枝で突いているのだが、程よい弾力があり、力を込めても刺さったことはないという。私は程よい弾力に目がないのだが、責任は持てないので我慢するしかない」(2017年1月10日火曜日)

「山の幸に感謝、と祖母が珍しく大きな声で言った。大声を出すような人ではないので、すこし驚く。とりあえず、私もいつもよりほんのわずか大きな声で、山の幸に感謝、と言ってみる。祖母は、そうそうそれくらい、ちょうどいいよ、と幼い頃と同じように褒めてくれたので、私は急に山の幸が好物になる」(2017年1月11日水曜日)

「家族は信じ合っているものであり、家族の絆というものを他人が否定してはいけないと言う人と出会うまで私は今の自分に家族がいないことも忘れていたし、かつての家族への憎しみさえも忘れていた。そして、その人が憎しみは何も生まないと言ったところで、私は相手の両目に強く親指を突き刺していた」(2017年1月12日木曜日)

「今日は愉快の日だと聞き、愉快なことをやってみようと頑張ってみたが、なにをやっても周りの人たちは怒るばかりで、今になってようやく愉快の日とは愉快なことをする日ではなく愉快を休ませる日だと知り、そんな私の無知ぶりを周りの人たちが愉快だと笑うものだから、私はとても愉快の日らしくなる」(2017年1月13日金曜日)

「アトウ君の家の物置には美人がしまってあって、春になると美人を出して秋の終わり頃まで一緒に暮らしているらしい。最近、妹は屋根裏に坊やがしまってあることに勘付いたようで、朝のココアを飲む時、屋根裏に向かってとぅるとぅるとぅるると唄っている。そろそろ、出す季節を決めなければいけない」(2017年1月14日土曜日)

「子供たちが校門の一部を茹でてしまったので、夜中にこっそりビタミン剤をかけ治しておく。次の日、子供たちは、校門を見てああだこうだと騒いでいたのだが、意外にも普段はいちばん声の大きい男の子が、誰かが面倒臭そうな顔で治しただけだよと言う。私は早くこの子が子供に飽きてくれることを願う」(2017年1月15日日曜日)