学生がいない喫茶店

 高校時代、授業が終わると十勝地方最大の街である帯広をうろついていたのだが、思い出してみると、同じ高校の連中はおろか、別の高校に通う学生とすら出くわしたことがほとんどない。校舎前でバスに乗り、帯広駅前まで移動する間は、当然バスの中にたくさんの学生が乗っているのだが、駅に着き、100メートルほど歩いてしまえば、もう学生らしき姿は私の視界から消えてしまうのである。私は比較的歩くのが速いので、他の学生群とある程度の差は開いてしまうが、その後、本屋に行ってもCDショップに行っても、他の学生らしき姿は見えず、追いついて来る気配もない。いったい、あの頃の帯広周辺の高校生たちは、授業が終わった後、なにをやっていたのだろう。

 高校時代の私は友達と呼べるような相手がほとんどおらず、「君たち普段、何をしているの?」と聞くこともできなかった。ゆえに、今も疑問を解くことができていない。