静養日記26 〜鼻血は輸血に向いていない〜

 鼻血が止まらなくなる夢を見た。極度の性的興奮を誘発されるような内容の夢を見たわけではない。文字通り、夢の中の私は鼻血が止まらなくなっていたのである。

 原因は、窓から染み出た大雨が電気ストーブのコンセントを濡らし、そこから立ち上る煙で鼻の粘膜をやられたことと、ショートしたストーブが際限なく部屋を暖めはじめたため、身体が極度に熱せられてしまったためと思われる。

 出血はひどく、ティッシュやガーゼで押さえたところでどうにもならない。シャツにもぼたぼたと血が垂れ流れ、真っ赤に染まる。私はなぜか自身の身体のことよりも、床が汚れてしまうことを恐れていて、とりあえず掃除しにくいカーペットの敷かれた自室から這い出て、フローリングの廊下へ移動する。

 鼻血は蛇口からどばどばと流れる水のような有様になっており、冷静に考えれば命の危機なのだが、廊下に這い出た時点で私はすでに諦めのような心境になっており、そのままゆっくりとうつ伏せになる。

 夢の中で意識を失うと、そのまま目が覚める。幸い、現実世界では少々寝汗をかいていただけで、どこからも出血などしていなかった。だが、こんな夢を見てしまっていたので、どうにも眠れた気がしない。