静養日記35 〜貧乏神との友情物語〜

 先週末頃から、なんだかやけにビタミンを身体が欲していた。ビタミンと言っても色々あるが、栄養学やら医学にとりわけ詳しいわけでもないので、具体的に何を身体が欲しているのかはわからなかったし、そもそも「身体が欲している」というのは、あくまで感覚的なものであり、「ただ、なんとなく」としか言えない欲求に対して私自身が専門的な判断を下すことなどできはしない。

 とりあえず、常備してあるビタミンウォーターを多めに摂取してみたり、リンゴを剥いてみたり(丸かじりのほうが好きなのだが、あまり丸かじりに適していないリンゴだった)、夕食は野菜たっぷりの鍋かなにかがよいなあ、でもこのあいだやったばかりだしなあ、なんてことを考えていたのだが、昨日になって、どうやら自分に風邪らしき症状が現れていることに気づいた。今日にいたっては、朝から喉が痛い。

 しかし、長年私に憑りついているであろう貧乏神が、付き合いの長さゆえに私に対して友情めいたものでも感じはじめたのか、どうも幸運の女神にそれとなく口利きしてくれたらしく、喉を傷めた私のもとへ、ふらりと沖縄の黒糖が届けられた。黒糖の塊は、のど飴よりも私の喉をいつも潤してくれるのである。

 そんなわけで、喉のダメージを黒糖の摂取によってある程度回復させた私は、いつも以上の静養を心がけている最中なのである。よって、今の私に妙な勧誘の電話やら、気に障るような呟きなどをぶつけるのは人として避けるべきである。貧乏神と熱い友情で結ばれた私を攻撃すれば、貧乏神が本来の力を相手に対して発揮することであろう。