静養日記36 〜不味いリンゴを齧ると耳の奥が痒くなりませんか?〜

 スイカやメロン、キュウリといった、水分の多い瓜類を食べると、耳の奥が痒くなってしまう。どうやら、軽めのアレルギーらしいのだが、耳垢が溜まっているわけでもないので、いくら綿棒をつっこんでごしごししてみても、そりゃあいくらか痒みは治まるが、うっすらした痛みで紛らわせているに過ぎないような気もするし、なによりやり過ぎて出血でもしたら、それはそれでまた面倒なので、こういった食品は避けるようにしている。

 さて、前回の日記に書いた通り、風邪らしき症状に見舞われた私は、母が親戚から分けてもらったリンゴを剥いたりしていたのだが、どうもこのリンゴが私の口に合わないもので、なんというかパリっとしておらず、私が果物全般に求める爽やかな甘酸っぱさをほとんど味わわせてくれない。そして、特に水分が多いわけでもないのに、リンゴにおいて初めて耳の奥が痒くなった。

 ただでさえ風邪気味で、おそらく耳の内部の皮膚なんかの調子も悪くなっているであろうところを綿棒でごしごししてしまったら、深刻なレベルの出血があるかもしれず、かといってリンゴを食べきれば耐え切れないほどの痒みに襲われるので、仕方なくこのリンゴは食べかけの状態で捨てることにした(庭にでも埋めてリンゴの木が育つのを期待してみようかとも考えたが、不味いリンゴばかり実っても全く嬉しくない)。

 毎年、年末近くになると青森の親族が送ってくれるリンゴは、耳も痒くならず、大変美味しい。青森のリンゴを恋しく思い、人間椅子の「りんごの泪」を口ずさんだりしながら、私は今日も静養中である。


人間椅子「りんごの泪」(「疾風怒濤〜人間椅子ライブ!ライブ!!」より)

人間失格

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