静養日記43 〜歯科医の会話魔術〜

 歯科の定期検診のたびに思うのは、口を開いている時に先生や歯科助手の方から話しかけられた際、こちらはくぐもった声で応えるか、あるいはわずかに頷いたりするしかできないのだが、どうやら意志の疎通は出来ているようで、他の患者の治療における器具の音なども響いているなか、そのようなぼんやりした意志表示を読み取るというのは、なかなか難しいことだと思うのだが、なにか特別な訓練でもあるのだろうか。あるのならば、是非とも他の分野でも役立ちそうなので、世にもっと広めてほしいものである。「大きな声を出せ」という圧力に辟易している者としては、なおさら感じることなのである。