角砂糖で得られる小さな幸せと大きな恐怖

 『おかあさんといっしょ』のなかで流れていた「かくざとういっこ」という歌がある。私が観ていた頃の歌なので、今はもう放送されていないだろうと思っていたのだが、2012年に書かれたあるブログに「今朝、娘と一緒に見ていたら流れた」という旨のものがあったので、どうやら近年でも放送されていたらしい。ただし、バックの映像がどのようなものだったのかはわからない。

 私の観た「かくざとういっこ」は、たしか3つのイラストが順番に映し出されるだけのもので、アニメーションですらなかったはずである。イラストのタッチが妙に儚げで、特にアリさんの絵がなんだか悲しく、当時の私にはちょっと恐怖ですらあったのだけれど、自分と同じような子供に向けて作られた番組の内容を「怖い」と感じていることを表明することもまた同じように怖いことのような気がして(もちろん、明らかにホラー的な内容のものであれば別である)、親にも保育園の先生や園児仲間たちにも話すことはできなかった。幼児もまた、「他の人とは違うかもしれない」ということに危機感は持つのである。

 『おかあさんといっしょ』だったのか『みんなのうた』だったのかは忘れてしまったが、別の歌でメリーゴーランドの馬が飛んでいくような映像のものがあって、これもまた、自分でもよく理由はわからないのだが、怖いというか気持ち悪く、この歌が流れてくると、そっとテレビの前から離れたりしていた。

 どちらの歌も、あらためて映像と共に観賞し直し、当時感じていた恐怖の正体を突き止めてみたいのだが、「かくざとういっこ」はともかく、馬の歌のほうは、いかんせん最後まで聴いたことすらなく、それゆえにタイトルはもちろん、おぼろげな歌詞さえ思い出すことができないので、これでは公式記録を調べることはおろか、違法アップロードの動画を探すことさえ難しい(違法だからやらんけど)。

 もし、「それは、おそらくこの曲だ」と教えてくれる親切な情報通の方がいらっしゃいましたら、「ありがとうございました」というお礼の言葉くらいしか差し上げることはできませんが、それでもよろしければ、どうかご教示ください。なんとなく購入してみた角砂糖を舐めて脳に栄養を送りつつお待ちしております。