華麗なる学校給食野郎

 人生初の給食のメニューはカレーだった。中学入学後の最初の給食もカレーだった。

 私が知り合った人のなかにも、最初の給食がカレーだったという人がたくさんいて、実際カレーは給食の人気メニューの常連である。メジャーリーグで連続ホームランを成し遂げた大谷翔平選手も好きな給食メニューはカレーだったらしい(日本ハムが調べたらしいのだが、なぜそんなことを球団側が調査したのかは私の知るところではない)。だが、それは給食に限った話ではなく、定食屋なんかでもカレーは人気で、すべての給食や定食屋のカレーが特別に美味しいわけではなく、カレーというメニューが、いわば安牌であるということなのだろう。

 傭兵はカレー粉を持ち歩くという話も聞いたことがある。これは、サバイバルにおいて、カレー粉さえふりかければ、大概のものは美味しく食すことができるからで、つまり給食においても、最初にカレーを出しておけば、滅多なことがない限り、給食そのものを嫌いになってしまうことはないだろうという判断なのではないかと思う。カレー粉は偉大なり。レトルトカレーなんて、不味くできるのは葛城ミサトさんくらいだろう(シェフ大泉も危険な気がする)。

 小学校や中学校も、そろそろ入学式を迎えたころで、多くの子供たちが初めての給食を味わうことだろう。現在の学校給食においても、最初のメニューがカレーである確率が高いのかどうか、少々気になるところである。私の母校の小学校は閉校してしまったし、神奈川に住んでいたころは、近所に小学校があって近くを通れば、時刻によっては給食の匂いが漂ってきたものだ。だが、今の私の住まいは、隣の建造物自体とそれなりの距離が保たれているような秘境のような土地であり、漂う匂いによって給食のメニューを推測することもできない。そもそも、小・中学校の近隣の匂いを熱心に嗅ぎまわりながらうろつくなど不審者以外の何者でもない。

 とりあえず、アレルギーに無知だったり、個々の児童の体調や食欲に対してあまりに鈍感な教師によって、命の危機に瀕してしまうような子がでないことを祈るばかりである。