いつだって君をがっかりさせる世界をがっかりさせてやろう

 自宅の2階にある私の部屋の窓からは庭が見え、そこには父の車が置かれている。なんの変哲もない白の軽自動車なのだが、天気の良い夜だと、月明かりに照らされて、他に光を発するものが近くにない秘境の一軒家の庭の中でぼーっと光ってみえることがある。まるで、映画『レポマン』のクライマックスシーンのようで、そのまま乗り込めばUFOのようにどこかへ飛んでいけるかもしれないなどと夢想する。

 何度か口にしていることだけれど、「私は飛ばないはずのものが飛ぶ」というシーンに妙に感動する性分があり、特になにかうんざりするような目に遭った時には、そういった映画を観たくなる。そして、自室の電気のスイッチを眺め、これをどうにかすれば、『ルナ・パパ』のラストのように天井が外れてどこかへ飛んでいけたりしないだろうかと考える。

 基本的に「世界にうんざり」という気持ちで生きているのだろう。そうでないと、映画学校時代の卒業シナリオに『世界はいつだって君をがっかりさせる』なんてタイトルをつけたりしない。そして、だからこそ「世界にがっかりしない方法」を送り出そうとするジョン・ハンケのような人に憧れたりもする。逆に、わざわざ信用ならないものをいくつも挙げて、「そのなかで最も信用できないのはどれですか?」などと問い、さりげに自分がいちばん嫌いなものがワースト1になるように仕組んだりして、その結果を嬉々として発表することで悦に入っているような人には心底うんざりなので、世界を覗き見する方法の一つであるツイッターなんかでは、予防的にブロックしておく。

 あまりにも目につき易いので、ツイッターという方法で世界を覗く頻度はとても減ってしまっているので、なにかもっと良い「世界の覗き方」を見つけなければいけないなと思う。

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ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ

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