日曜日のアイスクリームが再び凍るまで

 溶けたアイスクリームが再び冷えて固まると、水分と脂肪分が分離し、種類にもよるらしいけれど、まあなんとも美味しくない食べ物が出来上がってしまうようで、北海道とはいえ、まだまだこの時期は暑くなる日も多く、冷凍庫にアイスクリームを常備している家も珍しくなく、そこで長期間の停電なんてされようものなら、当然上記のような美味しくない食べ物が出来上がってしまうのである。

 北海道胆振東部地震における直接的被害がほぼ見受けられなかった私の在住地近辺では、被害といえば主に2日間にわたる停電によるもので、それもまたアイスクリームが美味しくない別の食べ物に変化してしまったという程度のものであったのは不幸中の幸いであった。

 そんななか、知人の一人は停電中に我慢できなくなって、常備していたアイスを胃袋に収めてしまおうとしたのだが、氏が手にとったチョコレートでコーティングされたアイスバーは、袋から取り出すと形も崩れておらず、ほのかにひんやりとした風も感じられ、これ幸いと齧ってみたのだが、中身のアイスクリーム部分は見事に溶けていて、割れたチョコレートの裂け目からどろどろと溢れ出し、洗濯機が使えない状態のなか、余計な洗濯物を増やしてしまって同居人たちからひどく非難されたようで、今のところ、これが北海道胆振東部地震における私の在住地域近辺最大の被害である。

 さて、我が家の冷凍庫にも、停電当時3個の明治エッセルスーパーカップ・チョコミント味(私が好んで食すことができる数少ないアイスクリーム)が保管されていたのだが、水分と脂肪分が分離するだけでなく、均等に混ぜ込まれていたはずのチョコチップだけが表面に浮いてかたまり、見た目にもずいぶんと汚らしい残念な姿になっていた。ただし、表面のチョコレートを削り取ると、底にはソーダ色のシャーベット、その上に薄い青の脂肪分が浮いた形の二層仕立てで、案外悪いものではなく(味はさすがにいまいちだったが)、この部分の外見だけは新製品の案に上がりそうな気がしないでもなかった。

 まあ、似たような姿のアイスクリームは既に存在しているだろうから、単に私が「悪くない見た目だ」と感じただけの話で、怪我の功名なんてことにはならず、当然、私がアイデアの主となって一攫千金なんて話は夢のまた夢。仮に大金が舞い込んだところで、今はまだ節電の必要な時。金を贅沢に使うにしても、電気量以外のものに使うべきであろう。
というわけで、本日はここでさようなら。

日曜日のアイスクリームが溶けるまで

日曜日のアイスクリームが溶けるまで