その饅頭は甘くない

 2割の節電目標が緩和されたので、「じゃあ今日はひとつ、久しぶりに娯楽のために電気を使わせてもらおう、まずは映画でも観よう」なんて思い立ったのだけれども、さて何を観たら良いのだろう、外出する気にはなれなかったので、自分が所有しているブルーレイ、DVD、VHS等から選ばなければならないのだが、そこそこの映画好きとしてそれなりの量を所有しているので、「もう、そこまで頑張って節電しなくても大丈夫ですよ」と急に言われても、何から手をつけて良いやら迷ってしまって、ふと目に入ったのは映画のソフトではなく面白辞書としても有名な新明解国語辞典。「そうだ、辞書を適当に開いたとき指が当たっていた語句にちなんだ映画でも観よう」なんてことを考えて実行してみたら、左手親指が押さえていたのは「はち【八】」。

 「はち【八】」。①七に一を加えた数を表わす基数詞。「―万円・―面体・腹―部・―方位・―寒地獄・―把・―キロ・―パーセント・―票・―分・―本・―月・―対三」[用例のうち「八寒地獄」以下は、ハッとも発音される]②七の次の自然数を表わす序数詞。「―階の窓/―月・八十―夜」[和語の「や(っ)つ」が「弥」に通じ豊かの意に多く用いられる上に、字形が末広がりで縁起が良いとする向きが有る・大字は、捌。 ⇒【造字成分】はっ(八)⇒九(ク/キュウ) (三省堂新明解国語辞典 第五板』より)

 新明解国語辞典としては、さほど珍妙さの感じられない記述であるが、さて、「八」から連想される私の所有する映画は……と最初に目に入ってきてしまったのが『八仙飯店之人肉饅頭』(1993年/香港/監督:ハーマン・ヤオ)。『里見八犬伝』でも『八月の鯨』でもなく『八仙飯店之人肉饅頭』。知らない人でもタイトルを見ただけで、だいたいの内容がわかってしまうであろう『八仙飯店之人肉饅頭』。というわけで、節電明け一発目の鑑賞作品は『八仙飯店之人肉饅頭』に決まりました(これを観るのも、かれこれ10年ぶりくらい)。

 では、これから部屋を暗くして観賞いたします。ごきげんよう

八仙飯店之人肉饅頭 [DVD]

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