あの娘が結婚捨ててしまう

 小学校時代、私の学年には私を含めて6名の児童しかいなかった。転校してしまったり不幸があったりということもなかったが、新たな仲間が増えるということもなかったので、1年生から6年生までの間、ずっとこの6名だけだった(強いて言えば、私が一番新しい仲間だった。超病弱だったがゆえに幼稚園に入園するのが他の5人より遅れたからである)。

 最近になって、どうやらこの6名のうち、いまだに結婚をしていないのは私だけであるらしいことが判明した。当然、全員が30代に突入しているわけだから、なにも不思議なことではないのだけれども、ちょっと転んだだけでぎゃあぎゃあ泣いていた頃の事まで知っている身としては、どうにもすんなりと納得できないでいる。転ばなくともぎゃあぎゃあ泣いているだけだった赤子時代から見守ってきた親であれば尚のことかもしれないが、親の目に触れぬ場所での褒められたものではない言動に関しては私のほうが知っている可能性もあるわけで、その件も踏まえると、特にあいつとかあいつまでもが家庭を持っているらしいことには恐怖すら感じる。

  さて、ちょっとした手助けを募ったところで駆けつけてくれる知人の存在すら危ぶまれている美月雨竜氏にとっては結婚など縁のない話であるが、映画学校を除いた中学以降に知り合った同級生のうち、現在も辛うじて交流の続いている数少ない友人たちは、男女問わず全員が同様に結婚とは縁が遠そうな連中ばかりで、内1名に至っては「池田エライザから求婚されない限り結婚などしない!」などと言い出す始末。彼が池田エライザさんから求婚される確率というのは、宝くじを3回連続で大当たりさせた人の頭部に雷と隕石とカラスの糞が同時に直撃し、しかも生還する確率と同じなので、これはつまり前半部分にはほぼ意味がなく、ただ単に「結婚などしない!」と言っているにすぎない。しかし、類は友を呼び朱に交われば赤くなる、最近では私を含めた他の者までもが似たような思考に囚われはじめている。まあ、こんな連中が家庭を持ったところでろくなことにはならないと思うので、かえって世の中のためになっているのかもしれない。

あの娘が結婚してしまう

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あの娘が結婚してしまう パート2

あの娘が結婚してしまう パート2