平成くんは後輩です。

 みなさん、お元気ですか? 私は病気です。

 母親が私を腹に宿した状態で事故に遭い、誕生前から既に死にかけていたせいか、産み落とされてからも死にかけ癖が抜けず、比較的平和だと言われる国で育ったにもかかわらず、今日に至るまで何度も命を落としかけ、やけになって自ら命を放り投げようとも考えたくせに何故かしぶとく生きのび、では結局生きていて良かったのかと言われれば、そうとは思えなくなる方の記憶が邪魔をして、良い方に分類される記憶の輝きはあまり届いて来ず、なんとか呼吸だけは続けていたけれども、いつ頃からか吸い込んでも思ったように酸素が入ってこないような感覚が続き、今になって地球上の空気が彗星について行ってしまったのか、なんてことを考える余裕も当時はなく、目につく9割近くの人間の頭を粉々になるまで叩き潰したくなる衝動だけがふつふつと湧きあがり、自力で抑え込めるうちになんとか病院へ行ってみたら薬を処方されて、服用してみたらどうにか少しは落ち着きを取り戻し、充分な酸素を取り込むことも可能になったのだけれど、昨今の平均寿命から考えれば、まだ人生の半分が過ぎ去ったわけではないはずなのに、どうにもこれまでと同じだけの時間を生きられる気がしない。

 なんやかんやで口にするものの味に多少の喜びを感じられる程度には回復しているはずだが、油断すれば薄くないはずの酸素までが薄く感じられ、目につく7割の人間の頭を叩き潰せばすっきりするんじゃないかという妄想に囚われたりするのだけれども、誕生日に偽りがないのであれば、どうにか平成という時代よりは長生きできたようで、しかしながら、それを喜ばしいことと考えても良いのかどうかは疑わしい。いいや、もう寝てしまえ。