平成最後の日に家から一歩も出なかった昭和生まれの療養中男性が令和最初に考えていること

 『わたしに××しなさい!』というタイトルを最初に目にした時、「わたしにチョメチョメしなさい」だと思ってしまった昭和生まれほぼ平成育ちの美月雨竜氏は、なんの義務があるわけでもないのに自身の人間性や風貌からはほど遠い、いわゆる「キラキラ映画」と呼ばれるタイプの作品も可能な限り鑑賞しているのだが、さすがにみうらじゅん先生のように映画館で堂々と「『先生! 、、、好きになってもいいですか?』一枚!」と宣言できるだけの度胸はなく、映画版『わたしに××しなさい!』もDVDの発売を待ったため、映画館で「『わたしにチョメチョメしなさい!』一枚!」などと宣言して二重三重の恥をかくことはなかった。『世界残酷物語』や『グレートハンティング』の再上映ならば、周りの客と保護色で同化できる自信もあるのだが、キラキラ映画の場合だと存在しているだけで周りに迷惑をかけているような気分になるので、何度か挑戦した映画館での鑑賞においては、真剣な女装レベルの武装で臨んでおり、映画を観賞する前から気力も体力も削がれまくっているため、そう何度も行えるものではない。

 さて、『わたしに××しなさい!』でも主演を務めていた玉城ティナさんが蜷川実花監督の映画『Diner ダイナー』に出演していることが発表され、予告映像も公開された。しかし、NHK教育『シャキーン!』でのコーナー、「イチゴ」「ウサギ」「オッケーお茶の間」に癒され続けている身としては、予告映像で玉城ティナさんが宙吊りにされていたりするのを見た時点で心が痛んでしょうがなく、しかも、原作も既読なせいで、映画でどの程度の設定変更があるのかはわからないけれども、おそらく色々と大変な目に遭う(もちろん、役の中でだけれど)ことは容易に予想できてしまい、さらに胃が痛い。ゆえに、作品の出来不出来に関わらずなるべく早く結末を知って「いずれにしてもフィクションだから」と安心したいのだが、映画ファンが多いとは言えない地元では、どうも公開される気がしないので、きっと「なるべく早く」とはいかない。

 もっとも、「いずれにしてもフィクションだから」なんてのは当たり前の話だし、出演者やスタッフが様々な媒体で元気に情報を発信している時点で私があれこれ気を病む必要性なんかどこにもなく、むしろ自分の精神状態のほうを心配するべきなのも分かっているのだけれど、分かっているからといって「気持ち」という厄介な存在を制御しきることは困難であり、あまり意味のない私のもやもやした気分は実際に映画を観賞するまで続くことだろう。この作品での体当たり演技が活躍の場を広げることになってくれれば嬉しいし、私も気を病んだ甲斐があったと鑑賞後に思えることだろう(甲斐もなにも、私がなにか後押ししたわけでは全くないのだけれど)。

ダイナー (ポプラ文庫)

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劇場版 わたしに××しなさい! [DVD]

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