「まりも羊羹と眼球の強度って同じくらいじゃない?」(by.腐れ縁のHさん)

 さめくじらっ子「マル暴じいさん」

 

 コワモテの マル暴じいさん 路地裏で ぴりぴりと 張り込みを

 鉄砲玉と 重なるのは 出ていった若かった息子さん

 ガサ入れの 覇気はどこへ やさしい気持ちで泣きたくなる

 はんざいも むべなるかな むべなるかなけどつかまえるだけ

 ソラ サイレン鳴らし お巡りが来るぞ

 ホラ 啖呵切り 踏み込むぜ じいさん

 チャカ持ってバカな愚か者が 愚か者が……

 

 

 高校時代、陰で「模範囚」というあだ名で呼ばれ(囚人的な髪形だったことは一度もなく、むしろ日本の囚人らしからぬ長髪で今も通しているのだけれども、「なにかやらかしていそうな雰囲気があるのに、学校では模範的な振る舞いをしている」という意味でつけられていたあだ名らしい)、神奈川で独り暮らし中には、おそらくその筋の方だと思われる豊田商事社長刺殺事件の犯人に似た廃品回収のおじさんに「にいちゃん、目つき鋭いなー。ひょっとして同業か?」と訊かれた美月雨竜氏だが、地元に逃げ帰って来てからは、あまり人前を歩かないようにしているせいか、同業者と間違われることもないし職質されることもない。もっとも、近所の農家のみなさんのなかには、私よりはるかに風貌がその筋の方のような人が少なからず存在しているため、相対的に目立たなくなっているだけなのかもしれない。

 しかし、坊主頭にすることに対して強い抵抗があるので、刑務所に入れられてしまうようなことも避けたいのだが、目つきの悪さというものはどうにも治らない。もう30年以上、映るものの8割近くに憎悪を向けてきた眼球であるから、そう易々とやわらかい目つきになるはずがないのだ。視力も良くないので目を凝らすことも多く、これからもますます視線だけが鋭くなっていくかもしれない。

 これで実際に世の中のことまで鋭く見抜けるようであれば、この目つきの悪さにも使い道があるのだろうが、どうもそれほど見抜けている気にはなれず、結局のところ見かけだおしの鋭さでしかない。無用なトラブルを避けるため、今後もあまり見知らぬ人に視線を送らないようにして生きることにする。

うてな

うてな