お前今頃どの町に住んで……

 ほとんどのレジをセルフに替えたは良いものの、現代文明が進歩するスピードに追い付けずにいるお年寄りが客層の大半を占めているためか、結局最後まで店員が付き添うことになり、手間も回転率もかえって悪くなってしまっている町内の某スーパーマーケットは今後どうなっていくのだろうと、たまに利用する客の一人として心配しているのだけれども、たまに利用するだけの客であるから意見などをどこに出して良いものかわからないし、そもそも「お客様の声」的なことを募集しているのかどうかもわからないし、だいたいどんな意見を伝えれば良いのかもわからない。つまり、現状としてはどうすることもできない。

 さて、このスーパー、私が小学生の頃に開店したのだが、町内では3本の指が入る……ではなく指に入る(@ナイツ)大きさの店のため、義務教育時代の休日に足を運ぶと高確率で知り合いと遭遇してしまった。休日にまで顔を見たくなかった相手も多いので、当時の私がこの店に行くことは少なかったのだが、義務教育期間を終え、高校も卒業し、さらには数年の神奈川生活を経て帰郷した現在は前述通り「たまに利用する」と呼べる頻度の客になっている。かつてのように、知り合いと遭遇することもほぼなくなった。地元を離れて暮らしている者もいるだろうし、なにより十年以上顔を合わせていないうちに、すれ違っても気づかないほど容姿が変わってしまった者も多いのだろう。実際、地元の新聞や広報などに知人の顔が載っていることもあるのだが(別に逮捕者が頻出しているわけではない)、大抵は名前を見て初めて気がつく。これでは、たとえレジの列のすぐ後ろに並ばれても私は気づけない。

 ただし、私が気づかれていないかどうかまではわからない。自分自身の容姿の変化というものは、よほど意図的なイメチェンでもしていない限り、なかなか認識できないものである。ひょっとしたら、私がたまに利用してしまうからこそ、他の面々が店に顔を見せなくなっているだけなのかもしれない。