ナタデココよりも先に知ったタピオカ

 日本では1992年からNHK教育で放送されていたアメリカのテレビドラマ『天才少年ドギー・ハウザー』(Doogie Howser, M.D.)で、若くして医師となった主人公のドギーが数名の同僚たちと共に患者側の気持ちを理解するために体験入院(それぞれ異なった症状の患者に扮し、入院生活を送る)する回があった。そこでドギーは、たしか指の関節が動かせなくなった患者に扮して入院していたのだが、食事に注文していたタピオカが材料切れのために出されなかったことがきっかけで溜まっていたストレスが爆発して看護師に声を荒げてしまう。そのことで患者たちがいつも不自由な入院生活によってどれだけストレスを溜めているか痛感するというシーンなのだが、日本においてそこそこの入院歴を持つ私は、アメリカの病院では食事内容をリクエストできるらしいということに驚いてしまった。タピオカなるものの存在もこのドラマで知り、そんなデザートのリクエストが可能らしいことに更に驚いたが、まさか約25年の後に元号も替わった日本でブームになっているとは思いもしなかった。いまだに一度も口にしたことはないけれど。

 日本でのブームはタピオカよりも先だったナタデココの存在は、そのブームを伝えるニュース等で知ったのだけれど、「なんだこりゃ、なんだこりゃ、なんだこの歯触り」というフレーズが話題になっていたらしいCMの方は視聴する機会にほぼ恵まれず、志村けんがコントで引用しているのを先に観ることになった(ゆえにCMの引用だと気付かず、しばらくは志村さんがその場で思いついたアドリブ的なギャグだと思い込んでいた)。そして、ナタデココもいまだに口にしたことはない。そもそも、タピオカはまだしも、ナタデココは口にしてみたいとも思わない。なんとなく私の胃には合わなそうな気がして、戯れに口にするシミュレーションをしてみただけで腹痛が誘発されるくらいなので、たぶんろくなことにならないだろう。タピオカが切れていたから代わりにナタデココを持ってこられるなんて場面に出くわさないことを祈る。