人型幕の内弁当殺人事件

 タイトル通りの夢を見た。夢なのでぼんやりとした記憶ではあるが、バラエティ番組等でよく見る「被り物」の形態でご飯の部分に顔を出す穴らしきものがあり、白塗りされた男の顔が確認できた。シルエット的には、故・野坂昭如先生が出演していたアース製薬「ダニアース」のCM(畳の穴から野坂先生が顔を出している)に近い。しかし、人間の胴体部分が確認できない。胴体がなければ「人型」とは言い難いのだが、あくまで「人型」と認識していたのは、夢ならではの不条理の成せる業である。

 人型幕の内弁当の顔は松本人志氏に似ており、おそらくこの夢自体が『ダウンタウンのごっつええ感じ』で放送されていた“いかめし駅長殺人事件”や“大手長コウモリ白ムササビ殺人事件”などの○○殺人事件シリーズに影響されているのだろう(ただし、実際の○○殺人事件シリーズにおいて、松本さんが被害者の役に扮したことはないはず)。もっとも、被害者である人型幕の内弁当を囲んで事件の全貌を推理する刑事たちの姿も確認できなかった。それでも私は目覚める前からこの状況を「人型幕の内弁当殺人事件」と認識していたのである。

 それにしても、なぜ幕の内弁当だったのか。とりあえず、幕の内弁当に関する個人的な思い出を探ってみたが、特に強烈な出来事があったわけでもない。幕の内弁当に関する強烈な出来事など私以外の人たちにだってそうそうあるものではないと思うし、仮にあったのだとすれば、もっと頻繁に夢に出てきてもおかしくない。たまたま脳内で幕の内弁当というワードが照らされただけなのだろう。それでもあえて挙げるのならば、「幕の内弁当」という名前の意味を小学校時代の同級生H君に教えた時のことだろう。人生において「幕の内弁当」という言葉をいつ頃知るのが平均的なのかは知らないが、H君がその言葉を初めて耳にしたのは、昨年死刑が執行されたオウム真理教元代表麻原彰晃が逮捕されて少し経った頃、拘置所で幕の内弁当を食べていたという話(「自弁を食べていますから」と答えたとか)がワイドショーでとりあげられているのを見た時だった。どんな弁当なのか気になり、あくる日、私に質問してきたのである。

 改めて考えてみると、不謹慎という気もするが、どうやら私の中で幕の内弁当と殺人事件が繋がること自体には、必然性が全くなかったわけでもないらしい。夢の内容としてならば尚の事だろう。ちなみに私は幕の内弁当を食べたことはほとんどない。食えないおかずと対面する危険性が高いからである。

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