白鳥の引き笑い

 白鳥の鳴き声は明石家さんまの引き笑いに似ている。ほぼ毎年のように我が家の近辺には白鳥が飛来するので、テレビを点けているわけでもないのに、どこからともなくあの笑い声に似た音がすると「もうそんな時期か」としみじみしたりする。

 さんまさんといえば「眠らない男」(一日に10~20分ほどの集中的な睡眠を2、3回とるだけで、一般的な長い眠りにつくことがないらしい)としても知られ、以前、『さんまのSUPERからくりTV』で、とある専門家が「それは、なんか鳥に似てるなあ」とコメントしていた。鳥類は右脳と左脳が別々に動くらしく、片脳が眠ったまま長時間飛び続けるらしい。笑い声(鳴き声?)だけでなく、生態まで似ているということだろうか。「眠らない九官鳥」なんてあだ名をつけられていたこともあった。

 うつ病の際、賑やか過ぎるテレビ番組は避けたほうが良いのだが、ナインティナインの岡村さんがうつ病で休養していた時、医者から渡されたと思われる注意事項をまとめた冊子に、その旨が明らかにさんまさんと思われる人物のイラスト付で記されていたらしい。確かにさんまさんの笑いというのは、受け手の健康状態が良好でなければ楽しむのは難しい気がする。スポーツのようなものかもしれない。嫌いなわけではないのだが、静養中の私もなるべく避けている(ただし、所ジョージさんが一緒にいるとかなり中和される)。

 白鳥の鳴き声もシーズン最初のものは風情に浸ることもできるが、近所でひっきりなしに鳴かれると辛いものがある。白鳥の鳴き声にも所さん的な中和させる何らかの存在があれば良いのだが、さっぱり見当がつかない。幸い、気に障るほど大勢で居座られることは今のところないので、鳥獣保護法を犯す危険性は低そうである。