体育教師はプールの水をたっぷり飲んでみせたか?

 救急車らしきサイレンの音がたびたび遠くから聞こえてくる。熱中症だろうか。今となっては義務教育時代、夏場に体育なんぞをやっていたことが信じられない。当時から授業中、呪いの言葉を胸の内で唱えてはいたが、今なら体育教師を縛って炎天下のグラウンドに放置したうえで涼しい教室へ逃げ込む。かといって、虫の死骸の浮いたプールに浸かるのも御免である。O157の原因と噂されたカイワレ大根を主食のように食べてみせた管直人を見習って、体育教師たちはプールの水をバケツ一杯飲んでみせるべきだろう。

 安全性アピールといえば、たしか坂口元厚生大臣だったはずだが、狂牛病騒ぎのなかで牛肉を食べてみせたこともあった。これに対し、クラスメイトの誰だったが「カイワレと比べて楽じゃないかと言っていたのだが、年齢を重ねると脂っこいものは胃が気持ち悪くなりがちなので、案外カイワレのほうが楽だったのかもしれない。実際、私は牛肉よりカイワレが良い。1995年にフランスが核実験を強行した際には、タヒチの海で泳いでみせた政治家もいたはずで、これもまたひょっとすれば虫の浮いた塩素過多のプールより健康被害は少ないのではないかと思ってしまう。

 最近はこのような安全性アピールパフォーマンスを見かけていない気がする。安倍首相が長いことアベノマスクを使い続けていたが、政策としての是非は別として、上記のような話とは違うだろう。もっとも、管直人に関して言えば、首相であったことよりも「カイワレ食って、お遍路してた人」というイメージが強いほうが本人としては幸せなのかもしれない。少なくとも、政治家としての是非は別として、それでもあれだけカイワレを食べてみせてくれた分、プールの水をたっぷり飲んでみせてはくれなかった体育教師たちよりは管直人のほうが私はまだ推せる気がする。

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