今年も皮膚の出血大サービス

 60歳くらいになったら好かれるようになるんじゃないんですかと言われたことがあるが60歳まで元気でいられる自信がないし、ひょっとしたら死ねば好かれるということの婉曲表現かもしれない。しかし、死んだら好かれるという自信もない。すっきりされる可能性はあるかもしれないが。

 沈みがちな性分は処方薬で一時的に抑え込む他ないので、せめて居住空間だけでもすっきりさせようと毎年大掃除には人並みより少し上くらいの心構えで挑んでいるのだけれど、体力や気力よりも先に皮膚が限界を迎えてしまう。清掃用の手袋を用いてもすぐにひび割れて足りない血を外に逃がしてしまう。この貧弱過ぎる皮膚はいったいなんなのだろう。かといって、中途半端でやめることができないので、すぐに何の為かわからない苦行と化す。こうしてまたユースキンの売り上げに貢献する。

 掃除ついでに、少し前から気になりはじめた自室のすきま風の発生箇所を探したのだが、どうにも見つからない。発生箇所が特定できないので、結局は「すきま風が吹く気がする」としか言えない。本当に気がするだけで、なんらかの超常現象なのだろうか。しかし、霊感はないし、霊感があると思い込んでいるわけでもない。そもそも、超常現象だったとしても対処のしようがない。ひょっとしたら、体が冷え易くなっただけなのかもしれない。血も失いがちなので、可能性は低くないだろう。大勢の人間にすっきりしてもらえる日も遠くないかもしれない。