君の前世は三葉虫

 前世で古代生物の名前を聞いたことがないのはどうしてだろう。馬や牛、蛙あたりは聞いたことがあるのだが、恐竜や三葉虫というのは聞いたことがない。もし、言われたことのある人がいれば教えてほしい。

 前世を診ることができるという人が所謂「本物」なのかどうかはともかく、おそらく「前世が古生物」という話をあまり聞かない原因は、現代人の前世としては遠すぎる存在だからだろう。詳しい輪廻転生のシステムは知りようもないが、仮に私の前世がアノマロカリスだったとして、では絶滅後から人類誕生、そして現在の私に至るまでの気の遠くなる年月、この魂はいったいどこを彷徨っていたのか。前世というもの自体すんなりと納得できる者は少ないだろうが、アノマロカリスから現代人に至るまでの魂の行方なんて空想する気もおきない。前世の前世、そのまた前世……という風に辿っていくことのできる能力があれば、いずれ三葉虫やらアノマロカリスやらピカイアに辿りつけるのかもしれないが、そんな能力者は単に前世を診ることができる者より更に胡散臭い。

 そもそも、前世の奥深くまで診ることが可能だったとしても、古代生物に限らず診る側に生物全般の知識がなければ得体のしれない生き物(かどうかすら分からんような奴もいる)が突然イメージに現れる可能性もあるわけで、どう答えていいか悩んでしまうだろう。UFO目撃者の多くは絵が下手だったりするが、これは(自称)霊能力者の類にも割と多く当てはまる。人間以外の前世として挙げられる生物が大まかな名称で伝えられる程度のものに偏っているとすれば、それは能力者の知識不足か、はたまた画力不足か。

 もし、正直者で画力も高い前世鑑定人(?)が存在するのであれば、未知の生命体がわんさか発見できるかもしれず、生物学者や考古学者をパートナーに迎えるべきかもしれない。

「ピカイア!」第1巻 [DVD]

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  • 発売日: 2015/07/08
  • メディア: DVD