入院生活義務教育化

 母によると私が最初に発した言葉は「痛い」だったらしい。赤子の頃から病院通いが多かったので、親や医療関係者から「痛くないから大丈夫だよ」「ちょっとチクっとするけど我慢してね」「痛かった? ごめんね」といった言葉を繰り返し聞かされ続けたのが原因だろう。おかげですっかり注射には慣れてしまったが、両親を指す言葉より先に「痛い」と発したことに対するちょっとした申し訳なさはある。

 味の濃いものが苦手なのも入院が多かったからだろう。不味いの代名詞にもなっている病院食を不味いと感じた記憶がない。あまり魚を得意としない私が、病院では喜んで魚を食していたのも、院外で提供される魚料理に比べて脂気や生臭さが少なかったからだと思われる。食後に嘔吐したことはあるが、それは不味かったからではなく元々具合が悪かったからである。

 是非はまた別の話になるが、教育の一環として僧侶の生活を体験させたり、あるいは学校の制度自体を古い軍隊のような規律で縛るといった話はたまに見聞きするが、ならば入院生活の体験をカリキュラムに組み込む動きがあっても良さそうな気がする。

 この「入院生活義務教育化案」は、以前にもブログに書いたし、知人等に話したこともあるのだが、今のところ賛同も批判も特には得られていない。ろくなアイデアではない証拠かもしれないが、個人的には一般的な幼稚園で3~4年過ごすより有意義ではないかと思っている。少なくとも、成人病の予防効果はありそうである。

保育園義務教育化

保育園義務教育化

  • 作者:古市 憲寿
  • 発売日: 2015/07/01
  • メディア: 単行本