叶えない方が良かった夢(だけど彼らのなかに八代亜紀のファンは誰もいない)

 煽り運転などの危険行為を報じるニュースで、加害者側がトラックの運転手だった場合、中学・高校時代のいけ好かない連中のうち、将来の夢を「トラック運転手」としていた者が複数存在したことを思い出す。

 連中はどうやらトラックの運転手を気楽な商売だと考えていた節があり、たしかに映画やテレビドラマ等において、そう捉えられてしまいそうな描写は多々あるものの、『相棒』シリーズでも屈指の鬱回である『ライフライン』(Season10 第3話)のような面もあるわけで、むしろそういった現実によるストレス等が危険運転の引き金となっている可能性もあるかもしれない。いずれにせよ、働き方改革的な意味での「余裕」は必要であっても、自動車、特に大型車の運転を「気楽な商売」だと考える時点で充分に危険だろう。

 もちろん、「トラック運転手=クズ」なんて結論は短絡的な職業差別に過ぎないが、トラック運転手を夢見ていたらしい私の同級生たちが危険運転を行う可能性は高いように思えてしまう。卒業以来、顔を見かけたこともない連中なので、ひょっとしたらすでに夢を叶えてやらかして捕まっているかもしれない。なにぶん、車がないとどうしても不便な僻地のため、トラックに限定しなければ既に死亡事故まで起こした上級生が2名ほど存在している(幸い、同じ学校に通っていた上級生であるというだけで、ほとんど関わりはない)。

 周囲からの圧力に屈して普通車免許は取得してしまったものの、どれだけ不便を感じても決して自分で運転しようとしない私は、今のところ車にはねられることはあっても、車で人をはねることはない。おかげで無事故無違反の無意味なゴールド免許であるが、ひょっとしてこれはかつての同級生たちの中では珍しいことなのではないかと思ったりもする。

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