雀荘へ届くのは麦たちの声

 パチンコ店で新型コロナウイルスクラスターが発生しないのは、「喫煙率が高いので異常なほど換気がしっかりしている」、「黙って台に向かっているだけでは感染リスクは高くない」という2点が大きな理由らしいのだが、そこから考えると麻雀の感染リスクは少なくともパチンコより高いと言えるのだろう。どちらもやらないので、私個人にはあまり関係のない話だが。

 麻雀といえば、以前にもこのブログで少し触れた通り、父の知り合いに賭け麻雀での逮捕歴のある人がいるのだが、普段から良くも悪くも威勢の良い方で、逮捕時も主催者でも店の経営者でもないのに、どうやら人一倍激しくなさったせいで、その日のニュースにまるで主犯かのように顔写真込みで報道されてしまった。職場の食堂でたまたまニュースを目にした父は、思わず声をあげてしまったらしいが、この人がもし感染者だったなら、踏み込んだ警察関係者も含めたクラスターが発生していたことだろう。菅首相どころか、安倍前首相すら誰も特に気にとめていなかったであろう宮澤内閣時代の話なので、新型コロナウイルスなど本物の予言者でもない限り知り得なかったのが幸いだが、仮に同じような状況でクラスターが発生した場合、警察の感染者も「麻雀店でのクラスター」に含まれるのだろうか。感染が確認されるまでに少し時間を要するため、ニュースとしては「違法麻雀の摘発」が先に報道され、その後事件関係者の中でクラスターが発生した事実が付け加えられるのかもしれないが、そうなると「麻雀店でのクラスター」というより「この事件におけるクラスター」といった表現が使われるような気もする。だからなんだ、という話でもあるが、なんとなく気になってしまった。

 ところで、前科一犯のおじさんには、予知能力はないものの「小麦と会話できる」という特殊能力がある(と、本人が主張している)。新型コロナウイルスとは関係ないが、麦角アルカロイドとなら関係あるかもしれない(『X‐ファイル シーズン4 第13話「タトゥー」』は、腕に彫ったタトゥーの声に悩まされる男の話で、その原因として推察されていたのが麦角アルカロイドであった。劇中では、タトゥーの染料に含まれていたライ麦由来ではないかと考えられている。ちなみにタトゥーの声を演じたのはジョディ・フォスターである)。