来るべき来そうにない世界

 11月前だというのに冬のように寒い。暑がりの私が寒いと言っているのだから、間違いなく寒いはずである。地元の天気予報も寒いと告げている。

 しかし、繰り返しになるが、まだ11月にもなっていないため、服装を完全な冬物にしてしまう決心もつかない。日用品の買い出しの際には、似たような逡巡の果てなのか、短パンにダウンジャケットという、いびつな格好の男性も目にした。男性機能に関しては、下半身はあまり温めない方が良いと聞いたこともあるので、その辺りを気にしていたのかもしれないが、目を引く姿だったのは否めない。

 かく言う私も、少し厚手のジャケットの下はTシャツ1枚だったりするので、あまり他人のことは言えない。寒いとはいっても、多少動き回れば温まってしまうし、店内は暑かったりもする。

 体に優しいとは決していえない気候のなか、ワクチン接種が進んだためか、在住地での新型コロナ新規感染者は、しばらくゼロの状態が続いている。そろそろ、気を緩めた者による感染再拡大が起きるのではないかとも思うが、治めようと思えば治められるものなのだとも感じられる。もっとも、むしろステイホームが性に合っていた者からすれば、ふたたび夜の酒呑みたちや集団での宴会といった光景があちこちで繰り広げられるのかと思うと、あまり気分の良いものでもない。コロナ対策を念頭においた生活ですら、頑なに拒否する者も存在するなか、コロナ後における「ニューノーマル」など定着してくれる気がほとんどしないのだけれども、わずかな希望くらいは持っていたほうが良いのだろうか。それとも、諦めておいたほうが幸せだろうか。