2022年の悲しい俳句

 かつて、さまぁ~ずが生み出し、書籍化もされた「悲しい俳句」。YouTube『さまぁ~ずチャンネル』において、視聴者からの投稿作品も募集されていたが、投稿するほどの勇気と自信のない私は、2022年の1年間、毎週火曜に自分なりの悲しい俳句をTwitterにこっそり上げ続けた。当然、これといった反応も得られなかったが、1年の軌跡をここにまとめておく。

 

神棚の 餅だと言い張る わたぼこり

年明けて 十日過ぎても 家空けず

昨年の 貯めたチラシが 防寒着

ふきのとう そうじゃなくても 食っとこう

福寿草 我が家に咲いた 皮肉にも

針供養 フードロスだと 取り止めに

彼が訊く クロッカスって どんなカス?

あんたって 二月みたいな 人だよね

腹いせに 弱火で炙った 雛人形

学び舎や 雪は解けても 打ち解けず

「田楽」の 文字にも苛立つ 怒怒哀哀

思い出は 落第、落第 後、入院

春風や いやいやこれは すきま風

始業式 私は正直 自暴自棄

若鮎の 腹から湧き出た 寄生虫

口を開け 桜吹雪で 朝食を

春待たず 母校の記念樹 枯れました

俺なんて 小2の春から 五月病

初孫の 見ぬ間に割れた 武者人形

麦飯に 思うは季語より 塀の中

夏浅し 薄暑も酷な 薄い壁

もうすぐだ 五月も俺も おしまいだ

街中が 梅雨入り前から 湿っぽい

新婚の 庭には一応 ジギタリス

「紙とって」 昼間じゃ蛍も ただの虫

古庭の 桑の実貪り 赤い雪

この部屋じゃ する気なくとも 滝浴び可

お隣の 線香花火が 頼りなの

この瓜を 食べたり着たり 家にしたり

ぼくんちは ぬけがらみたいな せみをかう

夏休み 予定はこれだけ 墓参り

ゴキブリが 季語だと知って 夏憎む

赤いので 西瓜と偽り 食べさせた

せんせいの アサガオ、ヨルガオ ウラのかお

虫籠の 中身はとっくに 食べました

山菜で 今日まで育った 三歳児

鹿狩に 向かったあいつが 戻らない

今年から 敬う人など もう居ない

この身体 あだ名「溢蚊」 仕方なか

延々と 茸、筍 眺める子

秋腐柿(あきふがき) 隣にやろうよ 死んじゃうよ

友の髪 秋刀魚の細かい 骨のよう

冬支度 できる限りの 厚い紙

十一月 そう聞くだけで 絶望感

初霜と 言い張る窓の 傷汚れ

お隣の 落ち葉集めて 暖を取る

軒先の 干した大根 伸びた首

この冬は 夏着を重ねて しのぎます

初雪の 今日もあなたは 裸足かな

12月 冬は来たけど 服着れず

皮膚が裂け 六花も真赤に 染め上げる

さんたさん どうしておなかが へるのかな


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