キーボードが赤くなる前に

 記録的寒波の影響で、室内でおとなしくしていても、私の貧弱な皮膚はすぐにひび割れてゆく。かといって、生活するうえで手洗いを欠かすこともできず、洗いすぎているらしいことは何度も指摘されているゆえ、控えめを心がけはするものの、おそらくヤケになって手洗いも風呂も放棄したとしても改善するとは思えず、固まった血を洗い流すために、結局また手を洗うという悪循環からも抜け出せそうにない。

 ふと思ったのだが、呪いの儀式というものには、その過程において自分自身の血を使用するのをよく耳にするのだけれど、これだけ手の出血が常態化している私は、知らず知らずのうちに何らかの儀式を完遂させていたりはしないのだろうか。ひょっとして、これまで経験した「ざまあみろ」な体験は、私が偶然にも完遂させた呪いの結果なのだろうか。

 呪いたくなるような人間は沢山存在しているだけに、比較的条件を満たし易いのではないかとも思う。いずれ、とんでもない報いが訪れると困るので、やはりどうにか皮膚を大切にしなければならないだろう。