選ばれざる者

 そこまで大きな町でもないので、地方議員選挙であれば、そろそろ同世代の知り合いが候補者に紛れ込んでいてもおかしくはないのだが、幸い(?)私個人が見知った顔はいない。まあ、いたところで投票しても良いと思えるのは極々少数しか存在しないのだけれど、全候補者が投票したくない者ばかりであったなら、知らない嫌な奴より知っている嫌な奴を選ぶかもしれない。

 実は、親族には町議経験者が数名いて、そのうち1人は今は亡き私の愛すべきじーちゃんであり、当時の選挙ポスターが数枚残っていたりもする。ありがちな、ちょっと斜め前を向いた祖父の姿が写されているのだが、祖父は選挙に限らず写真に写る時は大抵この角度になっており、どうやら元々「お気に入り」のポーズだったようである。私の部屋の写真立てに飾られた祖父の姿も、どこかの山をバックにしていつものポーズでキメている。

 いずれにせよ、祖父と同等に信頼できる人物でなければ積極的に支持することはできず、選挙権を持って以降は、いつも消極的支持程度の候補者ばかりである。普段の人柄が見えない分、祖父よりは(あくまで私に選ばれることの)ハンデがあるのだが、それにしたってもう少し好感の持てる人物がいないものかと思う。