(悪い意味で)アート化する教育

 ツイッターなどで体験や主張をラフな漫画やイラストで呟くタイプのものが結構あるが、ためになったりするものも多いけれど、つっこみどころの多いものもたくさんあって、あれはたぶん「絵にしたほうがわかりやすい」と安易に考えて挙げたものなのだろうけれど、結局のところ言葉で説明できないのなら絵でも説明はできないわけで、単純に個人の伝達能力や思考の浅さが原因なのだろう。

 漫画に対する偏見のなかに「漫画は想像力を奪う」なんてのがあるが、仮に漫画ばかり読んだ結果があの呟き漫画/イラストなのだとしても、それは漫画やイラストしか表現手段を知らないだけであって、地頭が悪いのだから仮に漫画以外の本をたくさん読んでいたところで文章によって表現できるようになっていたかといえば、たぶんなっていない。画力や文章力以前の問題だろう。

 もっとも、絵や映像、あるいは詩といった表現手段は、論理性のなさを誤魔化すために用いられている場合がも多々あるような気はする。実際、単に言語化する力が乏しいだけのことを「抽象表現」などと言って芸術家ぶっているような人間は、映画学校時代に何人か見てきた。そもそも芸術系と呼ばれる分野が運動も勉学も不得意な者の受け皿的な面がありそうで、それ自体は否定すべきものでもないのだろうが、しかし、東日本大震災以降、残念な言動の目立つようになった芸術系/文化系の人たちが決して少なくなかったことを考えれば、そういった分野での教育の在り方というものは、もっと考えていかないといけないのではないかと思う。