自己紹介やら目次やら

投稿日付を未来に設定して常にブログのトップに表示されるようにする、というのは説明するまでもないことのような気もしていたのだけれど、わざわざコメントで突っ込みを入れている人を見かけたこともあるので、念のため、先にその旨を書き記しておきます。…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(51)

小鬼に怯える生活は6年ほど続き、注意力も損なわれ、最寄のスーパーが不衛生な原因がそのような環境によるものだと気づくのすら遅れた。傷んだバナナや惣菜も返品する気力を失い、真夜中に土のある場所を求め彷徨い、秘かに埋めることしかできなかった。そし…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(50)

「枝が台無しじゃん!」と新聞局の女子生徒が半泣きで教頭の身体から記念樹の枝を引き抜こうとするも、無理に抜けば教頭の肉や骨に邪魔されて折れてしまうであろうと周りも理解していた。冷静さを失った女子生徒を数名がなだめつつ、バスケ部の当時の主将が…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(49)

「肝臓に溜まったガソリンが朝まで燃えた 残飯に混ぜて犬に喰わせたあいつの目ん玉 どうやら今日は厄日のようだ どうやらこれは殺しのようだ」 札束だけでなく、自らの身体まで燃やしてしまった担任への追悼なのか、1年G組の教室には、誰かが黒板に赤いチョ…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(48)

事実、キックの管理下から外れた後の廃棄物置場は、後任の元野球指導者の無知によってチャタテ虫が蔓延るほどに荒廃し、10年と経たぬうちに会話する樹木以外の植物は枯死した。遠い未来のキックの子供が、会話する樹木の前にしゃがみ、祖先の過ちの贖罪のた…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(47)

猛暑の中、野球部の全校応援に駆り出され、すっかりぬるま湯と化した紅茶で必死に水分補給をしていた時、唐突に響いた共闘隊の銃声は、どんな歓声よりも私の心を奮わせ、球場に放たれた警備隊の放水を浴びに走るついでに、混乱のどさくさに紛れてサッカー部…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(46)

前衛音楽家が占い師の女と共に住む湿度の高い集合住宅から西に進んだ川辺の人形屋には、私が中学の卒業文集に好みのタイプとして記した球体関節人形に生き写しのドールがいて、金銭で取引することも憚られたので、毎日のように別の商品を購入しつつ、彼女の…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(45)

手袋はやけに映画に詳しく、仲間の手袋たちと共に、様々な映画の名シーンを再現してみせた。ただし、最後の演目は『北北西に進路を取れ』なのか『北北西に進路を取れ』のモノマネをする『アリゾナ・ドリーム』のヴィンセント・ギャロなのか、いかんせん手袋…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(44)

溶剤の精度を上げるために必要な薬草を採取するため、山上と共にコスタリカへ向かう途中、人生初のホーボー体験をした。「素敵な景色ですね、ハーパース」と山上が言い、ハーパースとは何か尋ねると「いませんでしたか、そんな奴?」という返事。記憶を探っ…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(43)

不器用の烙印を押されたことが悔しくて、誰もいない教室の隅で数秒だけ泣いてみたが、すぐに怒りの占める割合のほうが多くなり、校門近くのアスレチックの壁を蹴りつけると、出来の脆さゆえに板が外れ、不思議と教頭は笑って修理してくれたが、2年と持たずに…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(42)

タズネル氏を総括として行われた映画撮影の最中、目の据わった熊男に因縁をつけられたH氏が発作を起こして退場したがあった。私が別の現場から逃亡した翌日のことで、その頃はちょうど渋谷のタワーレコードで開かれたGUIROのインストアライブを観ていた。「…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(41)

石畳氏によってK氏へと伝わった彼女の意思は、すぐに山上らをも巻き込み、「“デーゲームファシスト”の横暴で死ぬことになるのなら、せめて相討ちすべき」という彼らの叫びは大量の落花生たちを動員し、まるで『爆裂都市』のような鉄屑と豚の臓物が飛び交う狂…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(40)

まったくの偶然だが、「恥じらいの四戦士」の一人であるH氏がかつて発表した映画のプロットは姉妹を巡る騒ぎに酷似していた。『アトミック・シスターズ』と題されたプロットは講師たちから酷評されたものの、後に多くの文化人が見せた残念な言動を考えると、…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(39)

不思議な能力を持つ双子姉妹が生まれたのは16年前の7月4日で、その日、家には一羽のフクロウが迷い込み、そのまま住みついた。フクロウはなぜかリンゴ以外の食物を受け付けず、それは姉妹も同じだった。そして姉妹が3歳になる頃、姉は突然、読んだことのない…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(38)

学校祭最終日となる翌日の朝、書いた覚えのない「夢に出てきたカミサマは 髭を生やしたジャンキーで 俺はエドミーあんたもどうだい 笑ったままでニヤリと言った」というメモを日記帳に挟み、珍しくベーコンと共に焼いた目玉焼きの出来具合を眺めながら、雨天…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(37)

学校祭2日目には仮装パレードなどという恥知らずな催しが行われるが、通院日がずらせないと言い訳し、参加は拒否した。薬局で安定剤を処方してもらっている間、別の患者が受付の女性に「一羽の白鳥がシベリアに向かっているそうです」と話しかけていたが、「…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(36)

信頼できるテレビ局では、ちょうどゴルフ場のようにバンカーや池が設けられた球場で行われる野球中継が放送されていた。使いものにならない選手が動員されて催される見世物で、ボールを追いかける勢いのまま池に激しく転落する姿は痛快だが、動員されてしか…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(35)

そんなタミヤの習性は、どうやら祖父譲りのものだったらしく、地域中から嫌われていたタミヤの祖父が自宅の便所で真夜中に発作を起こして亡くなった際、朝まで家族の誰も気づかなかったことが知れ渡っても不審に思う者は一人も現れず、タミヤの同級生である…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(34)

私は下北昇平と母校をめぐる一連の出来事をタソガレさんからの手紙によって知ったが、「ある程度の胸がすく思いというものは味わえたものの、歯磨きのし過ぎによる右肩の鈍痛が気になって見も心も健康体からは程遠いです」と返事を書く他なかった。見越した…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(33)

「人間の内面を深く掘り下げる」という指針を持ちながら、「B型の人間とは合わない」などと酒の席で宣った専門学校の担任も含め、私が憎く思った教員の多くは命を落としているのだが、最も憎い相手は今も平気で生きているので、私に妙な期待を寄せていたのは…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(32)

小学生の頃の従兄弟は、将来の夢に「情報屋」と書いて提出し、職員室に呼び出されるような子供だったが、ベースギターを覚えてからは不思議と学校の成績も伸びていった。再び窓の外に目を移すと、アスファルトに点々と人骨らしき白い欠片が張り付いていたが…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(31)

騒がしいテーマパークの前日は沖縄に居て、私は食べ物がどうにも合わず、ドラゴンフルーツだけを食べて飢えと渇きを癒やしていた。ゆえにテーマパークでもひどい空腹状態のはずだったが、周囲に溢れるうるさいほどの明るさは私の食欲をすっかり失わせており…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(30)

すでに小学校は廃校になっていて、かつての青年団の連中は誰も綺麗な靴など履いていない。共闘隊たちもわざわざ狙い撃ちする必要を感じていないようで、呆けた顔が品揃えの悪い下磯瀬の小さなスーパーの前に棒立ちしているだけだった。数少ない子供たちは新…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(29)

公民館の裏には川が流れていて、それは小学校にも続いていた。流れ出た黄色い液体が土地に染み込み、グラウンドも腐らせてくれれば、青年団をはじめとするスポーツファシストたちの身体も期限切れのまま長いこと放置されたチョコレートのようにぼろぼろと崩…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(28)

公民館の駐車場まで来るとエイの気配もなくなり、鍵がかかっていないことも知っていた私は堂々と入口から中へ入った。祖母が民謡の練習に使っていた大広間の壁には気になる隙間があり、ちょうど良いと思ったので、たまたま持参していたシャンプーを流し込む…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(27)

飲み屋通りは湿度も高く、近づくのも不快だったが、その先に崩れかけた木造の中古ビデオ屋があるので我慢して頻繁に足を運んだ。どう調べても素性がつかめない怪し気な販売元のビデオばかりの並んでいる店で、初めて行った際には『奇習!悪習!猟奇奇人地帯…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(26)

モガリはニエトの孫で、我が家とは少なからず因縁があった。父や伯母が子供の頃、飼っていた猫が行方不明になり、祖父が探すとニエトの家で吊るされているのを発見した。温厚な祖父が他人を殴るのを初めて見たと父は言った。幸い父の猫は無事だったが、喰わ…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(25)

その翌日、無理矢理参加させられた合コンで、お嬢は「好きなタイプは身体に良さそうな人。でも恋愛沙汰は身体に悪そう」とだけ答え、皺だらけの五千円札を置いてすぐに店を出たという。後に「恥じらいの四戦士」と呼ばれた関東での私の友人たちにこの話をす…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(24)

大鳥が荒らした牧場の近くにはクリハラの家の麦畑があり、二年に一度、クリハラと父親は共にミステリーサークルを作っていた。ドローンなどが普及するよりも前の話で、上空から撮影した映像は、キックがラジコン飛行機にカメラを括り付けて行った。撮影テー…

『今日までの夜に見た夢に彩られた走馬灯にも似た自分史』(23)

件の港町は海岸特有の錆と塩気と黴た木造建築の匂いが漂っていて、空き家と区別のつかない民家や店が並んでいた。夜中に母と祖父に連れられ、そのうちの一軒の酒屋に入ったことがある。早寝の子供だった私は夜中に外出すること自体、現実感を喪失するに充分…