2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

幸せであるように続いてゆくのかな

拙い小説もどきと予約投稿機能の悪用によって半年分のブログ更新を1月中に終えはしたけれど、はたしてちゃんと反映されているのかしら。 そもそも、私は2020年を半年間も生き延びていられたのかしら。 この日記すら2020年1月12日に書いているものだから、ま…

『空にかたつむりを見たかい?』 第46回(完)

朝は湿度が高めだ。その湿度と妙な夢のせいで、ひどく頭はぼんやりしている。僕は暑さ以上に湿気が苦手だ。肌の潤いを犠牲にしてでも湿気を取り除きたい。おそらく、東京には住めない。 歯磨きと洗顔で不快感を取り除いていたら、すでに土佐先生がキャンピン…

『空にかたつむりを見たかい?』 第45回

その日、僕はキャンピングカーの中で夢を見た。 夢の中で土佐先生は、地面に落ちていた女性用のパンティを拾い、両手の平に乗せて僕に見せた。 「秘儀・浮世離れ」 土佐先生がつぶやいた途端、パンティはむっくりと起き上がり、ふわりふわりと空の彼方へ飛ん…

『空にかたつむりを見たかい?』 第44回

事実だってことにしちゃえば、案外信じる奴が出てくるんだよ。いいことかどうかは、時と場合によるね。 たしか、ムー大陸だったかアトランティスだったかは忘れたけど、最初は創作物として世に出たんだ。でも、相手にされなくて、事実だってことにした途端、…

『空にかたつむりを見たかい?』 第43回

「ねえ、ライアル・ワトソン君」 「その呼び方、やめてもらえませんか。あゆむんでいいです」 「恥ずかしがってたくせに」 食事を終え、他のみんながキャンピングカーの中で寝静まった後、僕は塔子さんと二人で外にイスを並べ、知悦部の夜空を眺めていた。他…

『空にかたつむりを見たかい?』 第42回

知悦部小学校事務職員 土佐洋太 ――知悦部地区小学校と地域を語る 知悦部小学校に赴任してきたのは、もう六年前のことですね。たいへん、良くしてもらっています。 児童数が減少し、欠学年も目立ち、閉校もやむをえないのだろうとは思いますが、やはり残念で…

『空にかたつむりを見たかい?』 第41回

「あったよ。これこれ」 マリサが持ってきたのは、土佐先生や塔子さんが中学三年生だった時の学級新聞だ。 部活動をしていない僕たちは、夏休み中、中学校を訪れることはなかったのだけれど、今日は許可をもらって図書室に集まっている。一応、閉校記念式典…

『空にかたつむりを見たかい?』 第40回

上野が去った後も、しばらくカメラを向けていたが、かたつむりが飛び立つ気配はなかった。あの日と違うことと言えば、なんだろう? やっぱり国島先生が撒いた、あのナントカ菌がいけなかったのだろうか。上野もクワガタは見つけられなかったようだし。いや、…