件の港町は海岸特有の錆と塩気と黴た木造建築の匂いが漂っていて、空き家と区別のつかない民家や店が並んでいた。夜中に母と祖父に連れられ、そのうちの一軒の酒屋に入ったことがある。早寝の子供だった私は夜中に外出すること自体、現実感を喪失するに充分…
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